チェコのブドヴァイゼル・ブドヴァル工場見学で出来立てビールを試飲しよう!

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チェコ共和国では中世の頃からビール造りが盛んでした。日本で飲まれているピルスナービールの元をつくったのがチェコのブドヴァイゼル・ブドヴァルです。このブドヴァイゼル・ブドヴァルって英語読みはバドワイザー!アメリカのバドワイザーと長いこと争っていましたが、地域で名称を変えることに落ち着いています。見学ツアーも行っていて、工場のタンクからビールが飲めるんです。さあ、Let's go!

チェコ共和国ってどんな国?

出典: sg.hotels.com

1918年の第一次世界大戦の後に、チェコスロバキア共和国ができましたが、1993年にスロバキアと話し合いの上分離し、チェコ共和国として独立しました。

日本とチェコスロバキア共和国の関係は良好で、途中で中断したこともありますが、ずっといい関係を築いてきました。1993年にチェコ共和国となったときも、日本は早くに国家承認を行ったのです。

出典: pictures11.ru

町並み全体が世界遺産になっている都市もあり、観光業が盛んで日本からも年に10万人以上は訪れています。また主な産業が機械工業なので、自動車や電子機器関係の日本企業が多く存在している。

四季の流れがあるチェコ共和国は、春に行くと、美しい町並みに植物の芽吹きが映えて、より一層美しく感じます。

ただ夏の太陽が強く、肌がジリジリするくらいなので、UVカットの長袖を持参しましょう。また冬はとても寒いので、しっかりとした防寒対策が必要です。

ブドヴァイゼル・ブドヴァル

市ができる

南ボヘミア州で一番大きな都市であるチェスケー・ブジェヨヴィツェ は、政治や商業の中心になっている。

この市は遡ること13世紀、ボヘミア王オタカル2世の騎士であるヒルツォが作ったとされています。この頃のチェコでは、君主が自由に課税することができる特別所領というものがあり、そのため都市の建設が盛んに行われていて、チェスケー・ブジェヨヴィツェも1265年に市としての資格を得ます。

この町でのビールの醸造も、この頃からはじめられました。

ビールを造り続ける

地道においしいビールを造り続け、1495年にはそれなりの規模の醸造所を作ることができるまでになりました。

その後、神聖ローマ皇帝より賞賛を賜ったり、皇帝の為にビールを造るように命ぜられたりもしたのです。

冷蔵技術の完成

19世紀になると、オーストリアウィーンの出身者であるアントン・ドレハーと、ドイツミュンヘン出身者のガブリエル・セドルメイルが世界で最初の冷蔵技術を完成させたのです。

またチェコでも下面発酵ビールを造ることとなり、ドイツのミュンヘンから職人を呼び、1842年にピルゼン市民醸造所で、おいしいビールが出来上がりました。細かい泡、きれいな黄金色、のどごしの良さ、今までにない出来栄えに歓喜の声があがりました。

このビールが現在の日本でもよく飲まれている、ピルスナービールです。チェコのピルゼン地方が発祥なので、この名がついています。

町の名前

このチェスケー・ブジェヨヴィツェ という地名は、チェコ語ではČeské Budějoviceと書き、英語ではBudweisと書きます。

1847年には市民醸造所を移転させてBudějovice醸造所とし、新しく冷蔵地下室も建設する計画もたてて、1852年までには完成しました。

1872年にČeské Budějoviceから海外に向けて輸出が始まり、その時の名称がBudweisなのです。

アメリカのバドワイザー

ドイツからアメリカへ移民する時代

ヨーロッパ各国で起こった「1848年革命」によって、ドイツからの移民がアメリカのセントルイスへ移住して後、ビールの醸造を始めました。増えていった醸造所によって、アメリカに新しいビールが入ってきたことになります。

アドルファス・ブッシュ氏と未来の舅

話は、アメリカでバドワイザーを生産したアドルファス・ブッシュ氏の、未来の舅になるエーバーハート・アンハイザー氏が1843年にドイツからセントルイスへやってきたことに始まります。

石鹸とろうそくの会社を経営していましたが、1852年にある醸造所の経営者となり、買収を繰り返して、1860年には、E・Anheuser社と名前を変更しました。

アドルファス・ブッシュ氏は1839年にドイツの商家で生まれ、18歳の時にセントルイスにやってきて、仕事を通じてエーバーハート・アンハイザー氏と知り合い、娘を紹介されて結婚します。舅の醸造所の権利を半分買い、実質的なパートナーとなりました。

事業の拡大

フランスの細菌学者であるルイ・パスツールが、1866年に低温殺菌法をあみだしました。これにより、牛乳、ワイン、ビールなどの腐敗を防ぐことができるようになったのです。

1870年代初期、アメリカの醸造所として初めて低温殺菌法を使用したのが、アドルファス・ブッシュ氏でした。

1870年中頃から1880年初期までに、冷凍、冷蔵された鉄道車両を導入して、国中にビールを運ぶことが可能となりました。

バドワイザー誕生

1876年にバドワイザーを発売。

アドルファス・ブッシュ氏曰く、「自分のようなドイツ移民には故郷を懐かしく思ってもらえるように、そしてアメリカ人に簡単に発音できる名前がいい。バドワイザーに決定だ。」

そして「バドワイザー」を商標登録してしまったことが、間違いの元でした。

ブドヴァイゼル・ビールは、ヨーロッパで人気となっていました。その英語名がバドワイザーなのですから、もめることになるのは当たり前ではないでしょうか。

商標登録していたことが、余計に話をややこしくしてしまった原因かもしれません。ブドヴァイゼル・ブドヴァルの抗議があり、裁判は長い間続いています。収まりがついていませんが、とりあえずは、地域や国によって名称を変えるということで落ち着いています。

ビールに欠かせないものホップ

ビールに欠かせないものの一つとしてホップがあります。ホップにも香りの良いアロマホップと苦味の強いビターホップがあります。そしてその中でも種類が分かれるのです。

ブドヴァイゼル・ビールの香り豊かなビールは、ジャテツ地方で作られる最高級のホップのなせる技。

アメリカのバドワイザーは、ドイツの良質のホップを使用したボヘミアンスタイルのビールで、発酵したばかりのバドワイザーを熟成タンクに入れるときに、ブナ材を入れてバドワイザー・フレイバーにする造り方。

裁判の時に、「ボヘミアで生産されているビールと同じものを生産しました。」と述べていますが、ホップにしても水にしても、原料の質が違うので同じものは作れないでしょう。

アメリカのバドワイザーが買収されている

それでもアンハイザー・ブッシュはバドワイザー・フレイバーを造ることを誇りにし、ビール醸造に手を抜かなかったようですが、それも2008年に終止符を打ちました。

ベルギーの会社インベブに買収されたのです。その後名称はアンハイザー・ブッシュ・インベブとなり、略してABインベブとなりました。

コスト削減のために、ビールガラスを薄くラベルを小さくしたりは、許容範囲。でもブナ材の使用量を減らしたり、今までのホップをやめて安いけど香りのないホップを使うなど、明らかに味が変わってしまう醸造方法に切り替わってしまいました。

コスト削減のお陰で、利益は上がっているようですが、美味しくないビールを買う人は減っているようですよ。

ブドヴァイゼル・ブドヴァル醸造所見学ツアー

古い歴史のある醸造所ですが、幾度となく場所を移しています。現在の醸造所は全面ガラス張りのきれいな建物で、2005年に開きました。

ツアーの時間は60分。約1万年前からの地下水を汲み上げて入れている、大きな水のタンクがあり、次に発酵用の釜や貯蔵タンクが見られます。

この貯蔵タンクが、お楽しみの試飲タイムです。まだろ過していない、できたてホヤホヤのビールをタンクから直接注ぎます。

なんとも言えない味わい。1842年にこの地でピルスナービールができましたが、その時の職人の気持ちが分かります。

あとはボトル詰めやラベル貼りといった、この手の醸造所では行っている工程の見学をして終了になります。

工場直営ビアレストランで、食事とともに日本とは違ったピルスナービールを味わって。やはりホップと水の違いなのか、すっきり感が違うのです。

ブドヴァイゼル・ブドヴァルブルワリーツアー(Budejovicky Budvar Brewery Tours)
住所:
Karoliny Svetle 512/4,370 04 Ceske Budejovice,Czech Republic
営業時間:
9:00~17:00
アクセス:
プラハから電車で2時間30分チェスケー・ブジェヨヴィツェ下車その後徒歩15分位
定休日:
1月2月の日・月曜日
電話番号:
+420 387 705 347
料金:
大人60CZK、18歳未満は学生証かISICカードが必要で半額
エントリー条件:
最高人数24人まで

まとめ

出典: zpravy.e15.cz

商標登録によるイザコザは現代でもありますが、地名であり醸造所の名前であり、となると難しいですね。

すでに、ブドヴァイゼル・ブドヴァルがバドワイザーとして輸出していたことも困った事態の一つだったのでしょう。

現在は地域と国で名称が違いますが、ヨーロッパでアメリカのバドワイザーが売られていることはないそうですよ。

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