チュニジアの世界遺産、カルタゴで地中海の歴史に触れる

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エーゲ海を臨むアフリカ大陸の北部は、古くから多くの国が興り、また別の国にとって変わられて行きました。カルタゴ、エル・ジェム、ケルクアンはフェニキア、ローマ帝国時代の遺跡が残った場所です。

カルタゴってどんなところ?

カルタゴはチュニジア共和国、チュニス湖東岸にあった古代都市国家です。いつ頃カルタゴが出来たのかははっきりしておらず、遺跡の出土品などから、紀元前8世紀頃にフェニキア人が建国したと言われています。

カルタゴは紀元前6世紀頃は交易で栄え、一時期はジブラルタル海峡を挟んだイベリア半島の一部、そして対岸のアフリカ大陸北部の海沿いを現在のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアの西側あたりまで支配していました。

カルタゴ遺跡

カルタゴ遺跡は、紀元前146年のポエニ戦争でローマに滅ぼされ、その後ローマ帝国が建設した設備が残ったものです。フェニキア人の遺跡も数は少ないですが、現存しています。
1979年に世界遺産に登録されました。

ここでは、主にローマ帝国時代の遺跡をご紹介します。

アントニヌスの公共浴場 Baths of Antoninus

アントニヌス・ピウス浴場とも呼ばれている、ローマ公衆浴場(テルマエ)跡です。ローマ帝国の属州の中では最大規模、そしてローマ帝国内全体では第3位の規模だったそうです。
設備としては脱衣室に隣接した冷水プールのある「フリギダリウム」、床を熱で暖めた高温浴室の「カルダリウム」など100以上の部屋がありました。

円形劇場(ローマ劇場) Roman Theater of Carthage

半円形の劇場で、ローマ劇場そのものはローマ帝国の領土のあちこちに作られたそうです。闘技場とは異なり、演劇、パントマイム、合唱、演説等が催され、そのため音響効果もよく考えられていたそうです。
現在でも夏にはオペラが上演されているそうです。

カルタゴ円形闘技場 Amphitheatre of Carthage

1世紀にカエサルによって造られました。3世紀には拡張され、30,000人が収容できる規模がありました。アフリカ大陸内ではエル・ジェム、タプススと並ぶ三大円形闘技場の一つと言われています。

ローマ人の住居跡 Roman villas of Carthage

3世紀ごろの碁盤の目に整備された、ローマ人たちの住宅街です。道路、住居跡が残っています。

特にヴォリエールの別荘と呼ばれる住居は、かなり復元されたもので、床の大理石やモザイク、柱などが見所です。

カルタゴ遺跡 (Site of Carthage)
住所:
Carthage Présidence, Tunisia
アクセス:
カルタージュ・プレジデンス駅より徒歩
営業時間:
9月16日~6月18日 8:
30~17:00
7月18日~9月15日 8:
00~19:30
6月17日~7月17日 17:
00~8:00(ラマダン)
料金:
D10.000(D:チュニジア・ディナール)
※アントニヌスの公共浴場、カルタゴ博物館、ローマ人の住居跡、トフェ、パレオ・クレティアン博物館、ローマ円形劇場、ローマ円形闘技場、カルティエ・マゴン、ラ・マルガの貯水池、カルタゴ港跡に共通で入れる共通券があります。
※写真撮影料として別途D1.000必要(一回のみで後は不要)

エル・ジェムの円形闘技場

エル・ジェムの円形闘技場はチュニジア共和国、マーディア県にあります。こちらもローマ帝国時代の3世紀に作られました。収容人数は約35,000人で、北アフリカで作られたものの中でも最大規模のものです。現存する闘技場のなかでは、ローマのコロッセオ、ヴェローナのアレーナに次いで、3番目の大きさです。

出典: terraoko.com

全て石を切り出したブロックを使い、しかも基礎が無く地面の上にそのまま建っています。
ここでは、競争や剣闘士の戦いなどが行われました。

エル・ジェムの円形闘技場 (Amphitheatre of El Jem)
住所:
El Djem Tunisia
アクセス:
チュニスから列車で約3時間
営業時間:
9月16日~6月18日 7:
30~17:30
7月18日~9月15日 7:
30~18:30
6月17日~7月17日 17:
00~8:00(ラマダン)
定休日:
電話番号:
73 630 969
料金:
D10.000
※エル・ジェム博物館との共通券です。

ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡

チュニジア共和国北東、ボン岬の近くにあったカルタゴの遺跡で、1985年に世界遺産に登録されました。このフェニキア人が作った町、ケルクアンは貿易で栄えたほか、石工やガラス職人が多く住む町でした。紀元前4世紀から3世紀の間に作られたもので、紀元前3世紀の第一次ポエニ戦争のあいだに放棄されたと考えられています。

ほとんど破壊されなかったため、古代カルタゴの都市の様子がよく判り、またほぼ唯一現存するフェニキア人の遺跡です。
排水設備が整えられており、また各住居ごとに浴室が設けられていたことが判っています。

モザイクが施された床なども残っています。

ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡 (Punic Town of Kerkuane and its Necropolis)
住所:
Kerkouane、Kelibia 8090、チュニジア
アクセス:
チュニスから車で約2時間
営業時間:
9月16日~6月18日 9:
00~16:00
7月18日~9月15日 9:
00~18:00
6月17日~7月17日 17:
00~9:30(ラマダン)
定休日:
博物館は月曜休館
電話番号:
72 330466
料金:
D7.000

最後に

現在チュニジアに関しては渡航危険情報レベル3(渡航中止勧告)の一部地域を除き、全域が「不要不急の渡航中止」のレベル2にあります。
平和になってまた観光に訪れることが出来るようになることを祈るばかりです。

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