真夜中まで踊りあかそう!フィンランドのタンゴフェスティバル

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フィンランドではタンゴが人気。年に1回行われるタンゴフェスティバルには毎年多くのタンゴファンが国内外から集まります。タンゴに耳を傾け、タンゴに合わせて真夜中まで踊りあかす人達。この記事ではその魅力を存分にご紹介します。

タンゴフェスティバルの歴史

タンゴといえばアルゼンチンが有名ですが、実はフィンランドでも中高年層を中心に人気なのです。その曲調はメランコリックな演歌調のもの。パーティーなどでバンドが演奏を始めると自然にダンス好きなカップルが1組、2組と曲に合わせて踊り始め、会場はダンスフロアーと化すのです。

出典: yle.fi

タンゴフェスティバルは1985年から毎年7月にフィンランドの中西部の街、セイナヨキで行われている世界で一番古い歴史があるものです。フィンランド国内はもちろんのこと、海外からも多くの人がこの5日間のフェスティバルのために集まります。ちなみにセイナヨキの人口は約6万人なのですが、毎年10万人以上の人達がやって来るのです。

ではタンゴフェスティバルで何が行われているのか?なぜそんなに人気なのかを紹介していきます。

タンゴクイーン、タンゴキングコンテスト

これはフィンランドの国営放送、Yleと連携して行われているもので、全国約350名の応募者の中からその年のタンゴクイーンとタンゴキングが選ばれます。
最後まで残った男女各8名がセイナヨキアリーナで開催されるファイナルでその美声を競い合います。その模様はテレビで生中継され、実に約50%の視聴率を誇る一大イベント。こういうことからも、フィンランド人のタンゴフェスティバルへの関心の高さを想像していただくことができるかと思います。
ちなみにタンゴクイーン、またはタンゴキングに選ばれたらその後1年間、色々な場所で歌うチャンスを与えられます。運が良ければそのまま歌手デビューをするチャンスもあるため、歌手を目指す人のいわば登竜門にもなっています。

タンゴ作詞作曲コンテスト

この作詞作曲コンテストの模様もテレビで生中継されます。
新しいフィンランドタンゴを創出するのに一役買っていて、このコンテストも1985年からずっと続いており、実に5000曲もの新しい曲がここから生まれたそうです。

ダンスコンテスト

タンゴといえばダンスも忘れてはいけません。
残念ながらソングコンテストほど注目は浴びていませんが、伝統的なフィンランドの曲に合わせてダンスを競い合います。

エアタンゴ選手権

エアタンゴって何?と思われる方も多いでしょう。
ギターを持っていないのにさもギターを弾いているような曲に合わせてパフォーマンスを競うエアギター選手権もフィンランドで行われています。それに倣ってタンゴフェスティバルでも相手がいないのに相手がいるかを装って踊るエアタンゴ選手権が行われています。
こちらは事前登録は不要でカジュアルなもの。その場で希望者が手を挙げて参加します。以前はペンギンの着ぐるみを着た人が参加して大注目を集めていました。
審査方法はシンプル。数人の審査員が踊っている人達の中でこれぞと思う人にカードを渡して数を絞り込んでいきます。何度かこれを繰り返し最終的に数人に絞られたところで優勝者が決まります。
ある意味個性的なパフォーマンスを見せた人が勝ち。ダンス好きな方は挑戦してみるのも楽しそうですね。

聴く

タンゴクイーン、タンゴキングの歌に酔いしれるのもいいですが、国内外のアーティストの歌や演奏も楽しむことができるいいチャンス。
このバンドはウルグアイからきたバンド。以前は日本のタンゴ歌手も来たこともあり、観客を魅了していました。

一方朝も1時頃になるとさすがに暗くなってきますが、それでも踊るスペースがないほどのこの盛り上がり!タンゴキング出身の人気歌手、Jari Sillanpääのステージです。

踊る

タンゴフェスティバルの参加者の目的は大きく分けて主に2つ。
1つはその年のタンゴクイーン、タンゴキングが誰になるかを見守ること。そしてもう一つはそう、自らが踊ること。
タンゴフェスティバルの間は街の中心にある通りは”タンゴストリート”と名前を変え、全面車両通行止めとなります。通りの端には特設会場が設けられ、色々なアーティストが歌い、それに合わせて参加者は自由気ままに夜中まで踊り続けるのです。

メインステージの他にもパビリオンがあります。奥には飲み物も飲めるのでダンスを心ゆくまで踊り、時々喉を潤しまた踊りを繰り返して楽しんでいる人達。バンド演奏を楽しむ、というよりむしろその音楽に身を委ねてダンスを楽しんでいるのです。

タンゴを学ぶ

タンゴといわれてもちょっと踊り方がわからない…という方も心配ご無用。ダンスレッスンも行われています。
レッスンは難易度別にプロの講師が教えてくれます。
ペアがいなくてもこのように男女のパートで分かれて踊り方を教えてもらうので大丈夫。
アルゼンチンタンゴはセクシーかつアクロバティックなイメージがありますが、フィンランドのタンゴはシンプルなので少し習えばすぐ踊れるようになるのでは?
是非ともタンゴの踊り方を習って多くのフィンランド人と一緒にタンゴストリートで踊ってみましょう!

食べる

期間中は屋台も通りにたくさん出ていてお土産なども買えます。軽食を中心に食べるところも多くあります、近年lähiruokaといった近くで生産されている食材を使った料理も提供されるようになりました。
こちらのフードコートではタンゴクイーンとタンゴキングが料理を実演しています。
スターを身近に見られるのもタンゴフェスティバルのいいところです。

泊まる

住民の人口以上の人達が来るのにどうやって宿泊先を確保すればいいの?という疑問がわいてくるかと思います。
タンゴフェスティバルに来る人達は年齢層が高め。写真のようにキャンピングカーでやってくる人達が非常に多いのです。なかなかワイルドですよね。
もちろんホテルはいくつかありますが、実はホームステイプランもあり、期間中その家をホテル代わりに泊まることができるそうです。また街の中心から少し離れたファームステイもあるそうで、これもなかなかおもしろい体験ができそうです。ただファームステイになると公共交通機関での移動は難しいので移動手段は予約の際に併せて確認しておくとよいでしょう。詳細は地元の旅行会社、Etelä-Pohjanmaa Matkailuにお問い合わせください。(英語)
http://www.epmatkailu.fi/seinajoki-tango-festival.html

おまけ

タンゴストリートのすぐ近くにはフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アールトが設計した建物群があります。タンゴフェスティバルの期間中は公式ガイドによるガイドツアーが毎日14時から15時まで(最終日は12時から13時まで)無料で行われます。
※時間は変更になることもあります。詳細はホームページでご確認ください。

いかがだったでしょうか。
フィンランドのタンゴクイーン、タンゴキングが選ばれる国民的イベントを間近に見ることができ、また一方で自らも参加できる世界的に見ても珍しいフェスティバル。是非参加して楽しんでください。

Tango Festival
アクセス:
ヘルシンキからセイナヨキ駅まで電車で約3時間。セイナヨキ駅からメイン会場まで約1.5km。
※イベントによって場所が異なります。
スケジュール(Ohjelma ⇒Aikataulut)、チケット価格(liput)等はWebでご確認ください。
Visit Lakeus

フィンランド中西部セイナヨキ在住。
アルヴァ・アールト設計の建築群に興味があり、地元でガイドをやっています。

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