群馬が誇る世界遺産、富岡製糸場!今や大人気の観光スポットへ行こう

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2015年の大河ドラマでも出てきた、富岡製糸場。ここで作られた絹が、世界中で使われていたと考えるとドキドキします。今や大勢の観光客が訪れる場所ですが、改めて、どんな所なのでしょうか?関連する施設も含めてご紹介します!

富岡製糸場が支えた明治の近代化

 富岡製糸場は「富岡製糸場と絹産業遺産群」として2014年に世界遺産に登録されました。ここで作られた生糸が世界へ輸出され、生糸は明治からの日本の近代化を支えました。
 開国以降生糸は日本から輸出する品物の一つでしたが、急激に日本の生糸への需要が高まりました。背景として、世界的にヨーロッパにおいて蚕の病気の流行で、生糸が生産できなくなったことや、太平天国の乱が起きたことで清からの生糸輸出量が落ち込んだことが原因でした。

出典: ameblo.jp

 しかしこの急激な需要の高まりは品質の低下を招き、日本生糸に対する世界からの評価が下がってしまいました。そのため、品質、生産量の向上、そして更なる製糸業の発展に不可欠な技術指導者を育てるために、官営で洋式の繰糸器械を導入した工場の建設を決定しました。


 官営の製糸工場が富岡に作られた背景としては、群馬県一帯は古くから養蚕業が盛んだったため、生糸の原料となる繭が調達しやすい環境であったことや、製糸に必要な物資が近くから調達できるなどの環境が整っていたためです。

 また、全国から集められた女性たちは富岡製糸場で生糸作りの技術を学んだ後、生国へ戻ってその技術を広め、日本の製糸業の発展に寄与しました。

 器械製糸の技術普及の目的を果たした富岡製糸場は1893年(明治26年)に民間へ払い下げられ、その後譲渡や合併を経て、戦中、戦後と長い間製糸工場として操業されてきましたが、1987年(昭和62年)に操業停止となりました。

富岡製糸場

 富岡製糸場は日本初の官営模範製糸工場として、1872年(明治5年)に建てられた木骨煉瓦造(もっこつれんがぞう)の建物です。木骨煉瓦造は、木で組んだ骨組みに煉瓦を積む工法です。屋根には日本瓦を葺き、煉瓦は日本の土で作った煉瓦をフランス積みにした、日本と西洋の建設技術が融合した建物でした。

 富岡製糸場の建物は、明治政府の依頼でフランス人の生糸検査人、ポール・ブリュナの指導の元建てられました。また、建物の設計は、ブリュナの依頼を受けた、横須賀製鉄所のお雇い外国人であった、エドモン・オーギュスト・バスチャンが請け負いました。
 繰糸所はフランス式の繰糸器300釜が据えられた巨大な建物でした。

 ブリュナは日本人女性に合わせて高さを調節するなど、器械を特別注文しました。また、日本独特の行程である、撚り合わせた糸を更に別の枠に巻き直す、揚返(あげかえし)場を繰糸場に設け、西洋技術と日本の技術を融合させた施設となっていました。
 工場初期の繰糸器などは、現在は岡谷市の市立岡谷蚕糸博物館に保存されているそうです。

 繰糸所以外の富岡製糸場の設備には、次のようなものもあります。

東置繭所、西置繭所

東置繭所(ひがしおきまゆじょ)、西置繭所(にしおきまゆじょ)は、共に木骨煉瓦造の二階建ての建物で、主に二階部分が繭置き場に使われていました。

蒸気釜所

木骨煉瓦造の部分と木造の棟があり、製糸場の動力、及び煮繭に使われていました。動力が電化された後は煮繭所に転用されたそうです。

鉄水溜(てっすいりゅう)

鉄板で作られた貯水槽で、日本製の鉄製建造物としては最も古いものだそうです。

首長館

首長館、あるいはブリュナ館と呼ばれ、名前の通り、ブリュナ一家滞在するための建物。ブリュナの帰国後は女工向けの教育施設に転用されました。

女工館

ブリュナがフランスからつれてきた、女性の技術指導員のための宿舎です。

検査人館

ブリュナがフランスからつれてきた、男性の技術指導員のための宿舎。

首長館、女工館、検査人館はベランダを持つコロニアル式の建物です。

その他、第二工場、揚返工場、女子寄宿舎や糸蔵など、民間に払い下げられた後に増築された建物などがあります。

富岡製糸場
住所:
群馬県富岡市富岡1-1
営業時間:
9:00~17:00
アクセス:
高崎駅で上信電鉄に乗換え(約40分)、上州富岡駅下車、徒歩約15分
定休日:
毎週水曜日、年末(12/29~31)※平成28年3月より水曜日も開場
電話番号:
0274-67-0103(まちなか観光物産館「お富ちゃん家」)
料金:
大人1,000円、高校・大学生250円、小・中学生150円(未就学児は無料)
最終入場は16:
30まで。
蒸気釜所、鉄水槽、煉瓦積み排水溝は非公開。
西繭倉庫・ブリュナ館・女工館・検査人館は外観見学のみ。(非公開)
東置繭所の北側はガイダンス施設と売店があります。二階は非公開。

田島弥平旧宅

 田島弥平旧宅は、群馬県伊勢崎市にある明治初期の養蚕業者、田島弥平氏の住宅です。
 蚕は「運の虫」と言われるほど成育が難しいものでした。田島弥平は当初、自然のままの気温で蚕を育てていましたが、独自に清涼育と言う生育法を編み出しました。

 また、その清涼育のために、ヤグラと呼ばれる換気のための窓を持った蚕室の開発を行いました。この蚕室が完成し生育方が確立したのは、1863年(文久3年)だとされています。
 日本からの生糸、蚕種の輸出が盛んになり、田島弥平の蚕室構造を取り入れた養蚕業者が増えると、このようなヤグラのある家屋を「島村式蚕室」と呼ぶようになったそうです。

田島弥平旧宅
住所:
伊勢崎市境島村
営業時間:
9:00~16:00
田島弥平旧宅案内所
アクセス:
東武伊勢崎線境町駅から「境島村観光シャトルバス」、バス停「島村蚕のふるさと公園」にて下車
運行期間:
平成27年4月4日から平成28年3月27日までの土曜日、日曜日、祝日。なお、平成28年1月1日~3日は運休。
定休日:
年末年始(12月29日から1月3日まで)
電話番号:
0270-61-5924
料金:
無料
田島弥平旧宅は個人のお宅で、現在も人が住んでおいでです。くれぐれもご配慮願います。
また見学は庭先までとなります。

高山社跡

 高山社跡は、現藤岡市に残る養蚕業者高山長五郎の旧宅で、1884年(明治17年)に設立した蚕業の研究・教育機関「高山社」の本部でもありました。

 長年養蚕技術の研究を重ねてきた高山長五郎は、独自の「清温育」と言う養蚕方法を確立しました。これは田島弥平が確立した「清涼育」と火気によって室内を暖める温暖育の折衷法で、外の気温の条件に合わせて換気と暖気を使い分ける生育法でした。
 また、清温育を各地への巡回教師の派遣と、高山社での伝習によって、普及に貢献しました。

高山社跡
住所:
藤岡市高山竹之本237
アクセス:
JR高崎線 新町駅下車、
・タクシーで約30分、約12km
・多野藤岡広域路線バス「かんながわ号」で約35分、「高山社跡」バス停下車
JR八高線 群馬藤岡駅下車
・タクシーで約20分、約8km
・市内循環バス「めぐるん」で約35分、「高山社跡」バス停下車 300円
営業時間:
9:00~17:00(6月1日から8月31日までは9:00~18:00時)
定休日:
12月28日 から 1月4日
電話番号:
0274-23-5997(藤岡市文化財保護課)
料金:
無料

荒船風穴

 荒船風穴(あらふねふうけつ)は、群馬県甘楽郡下仁田町にある、荒船山の中腹に位置します。元々ここは真夏でも岩石の間から一定温度の冷気が吹き出していたことから、古くから蚕の種を保存していたそうです。この特徴に注目した庭屋静太郎、千壽(せんじゅ)親子によって、1905年(明治38年)作られました。

 従来は気候に合わせていたため、春に蚕が孵化するのに合わせた年1回の飼育しか出来ませんでしたが、この風穴の冷気を利用した保存法で、季節をずらして孵化させることが出来るようになり、年2回、年3回と蚕の増産を図ることができるようになりました。

 別名、荒船風穴蚕種貯蔵所跡とも呼ばれ、現在は石積みが名残としてあるばかりですが、三号まであった貯蔵所の貯蔵量と、それぞれ温度の違う三つの室を作り、段階を踏んで外気に慣れさせるシステムで「風穴界の覇王」との異名を取るほどだったとか。
 荒船風穴からは今でも冷気が出ているとのことで、夏には涼しくて気持ちいいのではないでしょうか。

 どれも日本の絹の質があがり、生産量が大幅に増えた時代を支えてきました。是非当時の姿を想像しに訪ねてみては如何でしょうか。
 荒船風穴は、駐車場から山道を歩く事になりますので、歩き易い格好と靴で行かれることをお勧めします。

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