ツアーで行きたいタンザニア・ンゴロンゴロって?人類発祥の地の巨大な穴へ!

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ンゴロンゴロ保全地域はタンザニアの北部に広がる大草原。中でも、一際目を引くのが巨大なンゴロンゴロクレーターです。クレーター内にはたくさんの野生動物が生息しており、「世界の動物園」と呼ばれています。またこの地は、マサイ族が昔ながらの生活を営んでいることでも有名です。自然、動物、人間が共存するンゴロンゴロ、どんな場所なのかご紹介したいと思います。

「世界の動物園」

ンゴロンゴロクレーターは、およそ200~300万年前の火山の噴火によって形成されたもので、阿蘇山に次ぐ世界2位の規模を誇ります。そう考えると、世界一位の阿蘇山は凄いですね。

出典: hipway.ru

クレーターを取り囲む山の斜面には低木が生い茂り、クレーターの底は湿潤な草原です。また雨季になるとあちらこちらに湖沼が出現します。この自然豊かな環境が、たくさんの動植物を育んでいるのです。

森や草原など緑が豊かな場所には、ゾウやシマウマなどの草食動物と彼らを狙うライオンやハイエナが共存しています。火口湖には、水浴びをするカバやフラミンゴの姿も見え、クレーターの外には、キリンなども住んでいるようです。まさに天然の動物園。

また平原では、マサイ族が今でも牧畜をおこなっています。クレーター内部にサイがたくさんいた頃、マサイ族の若者たちは、この力の強い動物を利用して勇気を試していました。夜陰に乗じて一人がそっと近づき、眠っているサイの背中に石を一つ置き、他の者がそれを取りにいくという肝試しです。確かになかなか勇気が要りますね。

人類発祥の地

ンゴロンゴロ保全地域は人類発祥の地としても知られています。オルドゥヴァイ峡谷からは直立歩行をした人類最古の頭蓋骨が出土しており、ラエトリ遺跡からは、猿人の男女と子どもの足跡が発見されました。これらはいずれも、初期人類が直立二足歩行をしていたことの根拠となっています。

植民地時代とマサイ族

ンゴロンゴロクレーターは、20世紀初頭から大規模な農業と牧畜に利用され始めました。この地を支配した植民地政府が、麻の栽培やウシの飼育をおこなったのです。

しかし、植民地政府の飼育したウシは平原に暮らすマサイ族に次々と奪われていきました。マサイはこのように主張。
「アフリカの空の下にいる動物はすべて神様のおくりものだ」
マサイにとって、ウシは植民地政府のものなどではなく、誰のものでもない神様の贈り物だったのです。

今もこの場所で暮らすマサイ族

ンゴロンゴロと隣接するセレゲンティ国立公園は、1956年までは一つの国立公園でしたが、これを分離させるきっかけを作ったのもマサイ族でした。彼らは、ンゴロンゴロが国立公園に含まれていることで自分たちの放牧権が奪われたと主張し、公園当局に詰め寄ったのです。

出典: gotrip.jp

その結果、ンゴロンゴロ自然保護区が生まれ、この区内ではマサイ族の放牧権が認められるようになりました。

ろうそくを灯す

ンゴロンゴロ自然保護区が広まったのは、ドイツ人獣医のベルンハルト・グルジメックの功績が大きいとされています。アフリカの動物保護に一生を捧げた彼は、クレーターの中に埋葬されました。

クレーターの縁にはピラミッド型の記念碑があり、そこには以下のような言葉が刻まれています。
「生涯を通して、地球上の野生動物とその生育環境の保護に心を砕いた。
闇を呪うより、ろうそくを灯したほうがよい。」
動物保護に関心がない人にとっても、はっと気づかされるような言葉です。

「世界の動物園」ンゴロンゴロ。様々な動物を間近に見ながら、人間と自然、人間と動物のかかわり方について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

ンゴロンゴロ自然保護区(Ngorongoro Conservation Area )
住所:
タンザニア北部の都市アルーシャの西
アクセス:
ナイロビからアルーシャまで飛行機で約4時間。アル-シャから現地まで車で約3時間。
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