モダンなだけではない!アイディア満載、市民にも大人気のフィンランドの図書館大特集!

12,770

views

1

フィンランド中西部にあるセイナヨキ。街の中心には世界的に有名なフィンランドの建築家、アルヴァ・アールト設計の建築物がありますが、その隣に2012年できたアピラ図書館。外観のモダンさも目を引きますが、しっかりとした理念に基づいて実現したこの図書館はとても居心地がよく、市民にも大人気の図書館。一見の価値ありです。

フィンランドの図書館の位置づけ

学校と図書館の深いつながり

フィンランドでは図書館の本の貸し出し率は全体で年間15冊強、セイナヨキでは何と25冊弱。実に日本の3~5倍もあるのです。なぜこんなに大きな開きがあるのか?
その秘密の一つはフィンランドの学校と図書館のつながりは切っても切れないことにあります。司書が定期的に学校に出向いて子ども達の読書に対する興味を引き立てたり、子ども達が授業の一環で図書館を訪問することもあるのです。
そしてこのアピラ図書館の様々な仕掛けを知れば、なぜ市民に愛されているのか、どのように市民に利用されているのかおわかりいただけるかと思います。

アピラ図書館

アピラ図書館(Apila library)は2012年8月にオープンしました。
設計を手がけたのは上海万博でフィンランド館(カテゴリー部門Bで最優秀デザイン賞受賞)を手掛けたJKMM社。

アピラはフィンランド語で三つ葉のクローバー。上から見た形がクローバーに似ていることから名付けられました。またコンクリートの素材をうまく活かしたこの建物は折り紙にインスピレーションを得ていて、時々折り紙を連想させるような鋭角部分が見てとれます。

アピラ図書館のコンセプト

フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アールト設計の図書館が市民増加により手狭になったとき、新しい図書館を建てることになりました。従来の本を借りるところ、勉強するところ、図書館はそれだけの機能でいいのか?
新しい図書館のあり方を見つめ直し、このアピラ図書館は柔軟性、多様性、居心地のよさ、現在と今後のニーズを満たすようなコンセプトのもとに建てられました。

つまりこの図書館は勉強の場、仕事の場、出会いの場、イベントの場、娯楽の場、参加の場と実に様々な場を市民に提供できるようにデザインされているのです。
このアイディアは功を奏し、人口約61,000人の規模にも関わらず毎日平均1,500人の来館者で賑わっています。

子ども向けセクション

子どもが喜ぶ仕掛けがたくさん

子どもセクションにはテーマがあります。フィンランドで有名なロバの冒険物語、”かくれんぼの小さなロバ”がテーマになっています。この物語のシーンが”本の家”で再現されていて、この本の家で本を読むことももできるし、外側は本棚になっています。

子どもセクションでは、一番最初に子ども達が手に取るのがこの図書館かもしれない、そのためになるべく魅力的な場所にしようというコンセプトで作られているこのセクション。
この隠れ家のような空間では子ども達が思い切り飛んだり跳ねたり、またお父さんやお母さんに本を読んでもらったりしています。

さらにここではすべてが子ども目線で考えられています。大人と同じように子どもも自分のカードで自分の本を借りられるように配慮された自動貸し出し機もあります。

時々模様替えされる展示。この時は日本がテーマでした。

秘密の部屋、読書室

実はこの図書館に隠し部屋があります。この読書室のドアをそっと押すとその中は静寂に包まれた空間。パソコンを開いて仕事をする人、試験勉強や宿題に集中している学生、静かに本を読む人のための部屋なのです。

ティーンエイジャーとエンターテイメントコーナー

壁が大人気!?

フィンランドでもティーンエイジャーの読書離れは問題になっています。このアピラ図書館ではティーンエイジャー向けの本を集めたセクションがあります。そして壁にはこんな仕掛けが。

この壁の穴の空間は放課後はすぐに埋まってしまいます。ここで友達とおしゃべりをしたり、宿題をしたり、リラックスして好きな音楽を聴いたり。ゆったりしたこの図書館ができる前とできた後の大きな変化は、利用者の滞在時間がぐっと長くなったということです。

電子ピアノも

エンターテイメントコーナーではCDやDVDが貸し出されているのはもちろん、このような電子ピアノもあり、ヘッドフォンを付けてピアノの練習をしている人も時々見かけます。

情報コーナーやカフェまで

情報コーナーは世界各地の約700の雑誌と約80の新聞が取り揃えられています。(電子版含む。)また併設のパソコンではインターネットで世界各地の雑誌、新聞も読むことができます。日本の新聞も読めるのですよ。

併設のカフェではお茶を飲みながらゆっくり新聞や雑誌、本を読んだり、友達とおしゃべりしたり、あるいは打ち合わせをしている人も。その人のニーズに合わせて色々な使い方ができるのです。

アピラ図書館(Apila Kirjasto)
住所:
Alvar Aallonkatu 14 60100 Seinäjoki, Finland
アクセス:
ヘルシンキからセイナヨキ駅電車で約3時間。セイナヨキ駅から800m
定休日:
時期によって変わります。詳しくは詳細ページ(英語)でお確かめください。
電話番号:
+358 6 416 2318
料金:
無料

フィンランドの中都市にありながらこのアピラ図書館は開館当初から多くの市民に愛され続けています。百聞は一見に如かず。実際に足を運んでその素晴らしさを体験してみてはどうでしょうか。

Visit Lakeus

フィンランド中西部セイナヨキ在住。
アルヴァ・アールト設計の建築群に興味があり、地元でガイドをやっています。

この記事を読んだあなたにオススメの記事
  • フィンランド・ヘルシンキで北欧雑貨ショップに行こう!オシ...

    日本で人気の北欧雑貨。特にフィンランドのヘルシンキにはマリメッコやヨハンナ・グリグセンなどの憧れブランドショップが集まっています。日本よりお手頃だったり、デザインが豊富だったり…。ぜひお気に入りの雑貨を手に入れてください。

  • フィンランドのバラマキお土産は人気のヘルシンキのマーケッ...

    「ヘルシンキのお土産を買いたいけど時間がない!」そんな時に便利なのがマーケット。ヘルシンキには、あちこちにチェーンのマーケットが点在しています。商品が豊富で、クオリティーも高め。しかも、大量購入をできるのが嬉しいポイント。フィンランドのマーケットを賢く使いこなしてヘルシンキのお土産をゲットしましょう。

  • ヘルシンキ人気レストランおすすめ3選!北欧フィンランド料...

    フィンランドの首都ヘルシンキ。緑や湖といった自然に囲まれた風景と中世を思わせる建物が印象的です。そんなヘルシンキは、伝統的なフィンランド料理を楽しめる都市としても人気!今回は、その中でも特におすすめのレストランを3つご紹介します。フィンランド観光がより楽しくなること間違いなしのスポットに、是非一度訪れてみてください!

  • フィンランドで酔いしれたい!病みつきになるほどおいしいハ...

    フィンランドにはオリジナリティ豊かなお酒がありますが、北欧という土地柄、寒さをしのぐためにアルコール度数の高いハードリカーを飲むのが定番なんですよ!おみやげにもってこい、強いけれど一度飲んだら病みつきになること間違いなしのフィンランド産ハードリカー3選をご紹介します。

  • 光の芸術!フィンランドのアルヴァ・アールト設計の建築群~...

    フィンランドの中西部、セイナヨキにあるアールトセンターは世界的にも有名なフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アールトによって設計されました。ラケウデンリスティ教会、教区センター、市庁舎、図書館、合同庁舎、劇場からなる建築群で、世界で唯一アールトの設計を忠実に実現した行政文化施設です。

  • 本場フィンランドのマリメッコでお土産ショッピングを楽しもう

    すっかり日本でもお馴染みになっているアパレルブランド、マリメッコ。本家フィンランドに降り立ったら早速マリメッコ三昧したくなる!そんな選りすぐりのスポットをご紹介します!

このエリアの新着記事
  • フィンランドでおすすめの人気のお土産TOP20!日本でお馴染み...

    フィンランドといえば、北欧デザインやムーミン、サンタクロース、サウナなど、日本でもお馴染みのモノがたくさん!現地に行くと、日本よりも割安で買える他、限定グッズも!今回は、フィンランドが生んだ大人気の北欧デザインからナチュラルコスメ、伝統工芸品まで一挙にご紹介しますので、是非参考にしてください。

  • フィンランド・ヘルシンキ雑貨ショップ4選!北欧アイテムをお...

    ヘルシンキはフィンランドの首都かつフィンランド最大の都市。日本でも注目されている北欧風デザインの発祥地としても有名です。人気の「マリメッコ」やガラスメーカー「イッタラ」、インテリアショップ「アルテック」などデザイン性の優れたショップが多く立ち並んでいるのが何よりの魅力。そんな北欧インテリアや雑貨がずらりとそろった、見るだけでも楽しめるヘルシンキの人気ショップをご紹介します。

  • フィンランド・イナリで過ごす白夜と大自然、おすすめの過ご...

    フィンランドと言えばオーロラ!それともムーミン?いやいや、白夜と大自然も中々のものですよ!今回はフィンランドでおすすめのオーロラ以外の楽しみ方を紹介したいと思います。

  • 本場フィンランドのマリメッコでお土産ショッピングを楽しもう

    すっかり日本でもお馴染みになっているアパレルブランド、マリメッコ。本家フィンランドに降り立ったら早速マリメッコ三昧したくなる!そんな選りすぐりのスポットをご紹介します!

  • ヘルシンキ人気レストランおすすめ3選!北欧フィンランド料...

    フィンランドの首都ヘルシンキ。緑や湖といった自然に囲まれた風景と中世を思わせる建物が印象的です。そんなヘルシンキは、伝統的なフィンランド料理を楽しめる都市としても人気!今回は、その中でも特におすすめのレストランを3つご紹介します。フィンランド観光がより楽しくなること間違いなしのスポットに、是非一度訪れてみてください!

  • フィンランド・ヘルシンキで北欧雑貨ショップに行こう!オシ...

    日本で人気の北欧雑貨。特にフィンランドのヘルシンキにはマリメッコやヨハンナ・グリグセンなどの憧れブランドショップが集まっています。日本よりお手頃だったり、デザインが豊富だったり…。ぜひお気に入りの雑貨を手に入れてください。

  • フィンランドのバラマキお土産は人気のヘルシンキのマーケッ...

    「ヘルシンキのお土産を買いたいけど時間がない!」そんな時に便利なのがマーケット。ヘルシンキには、あちこちにチェーンのマーケットが点在しています。商品が豊富で、クオリティーも高め。しかも、大量購入をできるのが嬉しいポイント。フィンランドのマーケットを賢く使いこなしてヘルシンキのお土産をゲットしましょう。

  • フィンランド・ヘルシンキの観光名所14選!北欧の雰囲気をた...

    今回ご紹介するのはフィンランドの首都であるヘルシンキの観光名所!定番のスポットを中心に、教会やイベントホール、ショッピングに最適なストリートまで網羅してみました。おすすめの観光名所ばかりです。お気に入りの場所を見つけてくださいね♪

  • トゥルクの観光スポット5選!のんびりブラリ旅しよう

    アウラ川が町の中心を流れ、中世の雰囲気漂うトゥルク。そこは、スウェーデン統治時代から600年もの間、都のあった街。フィンランドなのにスウェーデンの香りがする独特の空気をもったトゥルクを のんびり、ぶらりと旅してみましょう!

  • フィンランド基本情報 【治安・情勢編】事前にチェックして...

    福祉国家として知られるフィンランド。日本ではムーミン、北欧デザインなどの人気もあって観光で訪れる人が増加。世界的に見ても治安が良く安全度の高い国ですが、渡航に際しては注意も必要です。フィンランドでの滞在を楽しいものにするために治安情勢について調べておきましょう。

このエリアの人気記事
今週の人気記事