光の芸術!フィンランドのアルヴァ・アールト設計の建築群~セイナヨキのアールトセンター~

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フィンランドの中西部、セイナヨキにあるアールトセンターは世界的にも有名なフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アールトによって設計されました。ラケウデンリスティ教会、教区センター、市庁舎、図書館、合同庁舎、劇場からなる建築群で、世界で唯一アールトの設計を忠実に実現した行政文化施設です。

アルヴァ・アールトとは

アルヴァ・アールトは1898年にセイナヨキの隣町、クオルタネで生まれました。その後家族でユヴァスキュラに移り住みましたが、夏の間はアールトの父親の故郷でもあるセイナヨキと同じエテラポフヤンマー県内にあるアラヤルヴィで過ごしていたこともあり、この地区に所縁があります。
アールトは建物の設計だけでなく、家具やランプ、ドアの取っ手、ガラス食器などの日用品なども手がけており、それらは今もなお愛され続けています。
ユーザーの目線に立ったデザインは機能的であり、なおかつ多くの人々を惹きつける芸術作品でもあります。

アールトセンター (Aalto-yliopisto)
住所:
Koulukatu 21 60100 Seinäjoki, Finland
アクセス:
ヘルシンキからセイナヨキ駅電車で約3時間。セイナヨキ駅から650m

ラケウデンリスティ教会および教区センター

ラケウデンリスティ教会は1960年に、教会の隣にある教区センターは1966年に完成しました。ラケウンデンリスティとは「(特にフィンランド中西部に広がる)平原にある十字架」という意味で、アルヴァ・アールトが名付けの親です。実際平原が広がるこの地区で65mあるこの時計塔はどこからでも目印になり、セイナヨキを象徴する役割を担っています。

教会の中に入ると、一般的に頭に思い浮かべる「ヨーロッパの教会」のイメージを裏切る美しい白さが目に入ってきます。ステンドグラスもなく、祭壇画もなく、十字架にもキリストはいません。代わりに四季折々にその表情を変える柔らかい陽射しが射し込んでいます。
アルヴァ・アールトは邪念なくより真摯に神と向き合えるようにと無駄を省いた神聖な空間を設計したのです。

教会でパイプオルガンを見たことはありますか。ラケウデンリスティ教会のパイプオルガンもアルヴァ・アールトがデザインしたもの。今にも踊りだしそうなこのパイプオルガンを見たある音楽関係者は「まるでオーロラのようだ。」と語ったそうです。フィンランド中西部ではなかなかオーロラを見ることはできませんが、ここでならいつでも見ることができるのです。

ラケウデンリスティ教会 (Lakeuden Risti-kirkko)
住所:
Koulukatu 24, 60100 Seinäjoki, Finland
開館時間:
夏季(6月初旬~8月中旬)(月)~(金) 12:00 – 18:00 それ以外(月)~(金) 14:00 – 18:00
電話番号:
+358 6 418 4111
料金:
時計塔にエレベーターで上る場合は1ユーロ(ただし冬季は閉鎖)

市庁舎

セイナヨキ市庁舎は1962年に完成しました。壁に使われているのはArabia製のセラミックのタイルです。セイナヨキは日本語にすると「壁川」。コバルトブルーはこの「川」にちなんで選ばれました。グランドピアノのような形の建物は、コバルトブルー色の壁によって重厚感を増しています。

2階にあるこの議場は市議会で使われることもありますが、時にはセミナー会場、また時にはコンサート会場にもなります。アルヴァ・アールトがデザインしたランプは紐の長さが調整されていて彼の美意識が見てとれます。この議場もまた天井の羽板から漏れた柔らかい自然光が射し込み、開放的な空間が広がっています。

セイナヨキ市庁舎 (Seinäjoen Kaunpungintalo)
住所:
Kirkkokatu 6, 60100 Seinäjoki, Finland
開館時間:
(月)~(金) 9:00 – 16:00
電話番号:
+358 6 416 2111
料金:
無料

アールト図書館

アールト図書館は1965年に完成しました。アールトが設計し、実際に建てられた図書館は10ありますが、このセイナヨキにあるアールト図書館はインテリアが非常に美しい”器量よし”の図書館と称されています。

アールト設計の図書館で特徴的な中地下1階にある読書スペース。この読書机はアールト図書館のためにデザインされたもの。狭そうに見えるのですが、実際に座ってみるとランプがちょうど目の前に座っている人の顔を隠してくれるというトリックがあるのです。
ランプには真鍮が使われていて、ランプをつけると優しい灯りが洩れてきます。

図書館が南向きに建てられたためにひさしをつけたアールト。このひさしにより本に直射日光が当たらないように工夫されています。またこの大きな窓から射し込む優しい光が図書館全体を緩やかに包み込んでいます。

アールト図書館の中にはアールトがデザインした食器等のコレクションコーナーも併設されています。この花瓶はアールトが彼の奥さんのアイノのために作ったもの。世界にたった2つしか存在しない貴重な花瓶です。

アールト図書館 (Aallon kirjasto)
住所:
Koulukatu 21, 60100 Seinäjoki, Finland
開館時間:
(月)~(金) 10:00 – 19:00 ※6月から8月は金曜日は10:00 - 17:00 詳しくは詳細ページ(英語)でお確かめください。
電話番号:
+358 6 416 2638 料金:無料

合同庁舎 ※一般公開されていません

合同庁舎は1968年に完成しました。当時は警察署、裁判所、税務署が入っていましたが、今はそれらは別の場所に移転し、市庁舎として使われています。

市立劇場

セイナヨキ市民劇場は1987年、アールトの死後に完成。アールトの設計に基づき、彼の2番目の奥さんであるエリッサの監督のもと、この劇場は完成しました。

劇場の1階にはレストランがあります。使われているテーブルや椅子、ランプもアルヴァ・アールトがデザインしたものです。窓から射し込む明るい光と落ち着いた色の床がほどよく融合してゆったりした雰囲気を醸し出しています。

こちらは2階のカフェスペース。お芝居の幕間では観客達が飲み物を片手に語らう場になります。このテーブルにご注目ください。デザイン性に優れているばかりでなく、座るところが凹んでいて足を収めやすく、またテーブルの色々な組み合わせが楽しめる遊び心もある優れものなのです。

市民劇場 (Seinäjoen kaupunginteatteri)
住所:
Alvar Aallon katu 12, 60100 Seinäjoki, Finland
開館時間:
(月)~(金) 7:30 – 14:00
※2階の見学ができない時もあります。
※夏季休暇もあります。詳しくは詳細ページ(フィンランド語)でお確かめください。
電話番号:
+358 6 416 2081
料金:
無料

いかがでしたか。
1960年代にアルヴァ・アールトに設計された美しくかつ機能的なこれらの建物。彼の願い通りに今もなおまったく古さを感じさせず、市民にとって大切な建物として街に息づいているのです。

Visit Lakeus

フィンランド中西部セイナヨキ在住。
アルヴァ・アールト設計の建築群に興味があり、地元でガイドをやっています。

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