不思議がいっぱい!イランの新年のお祭りノウルーズに参加してみた!

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日本ではネガティブなイメージで語られることが多いイランは、実際に行ってみるとイメージとのギャップが大きい国の一つです。そしてイランで行われる新年のお祭りノウルーズは、日本人にとっては時季外れながら楽しい雰囲気が味わえ、しかも日本にどこか似ている不思議なお正月なんです。今回はイランの新年のお祭りノウルーズをご紹介します。

イラン・イスラム共和国

トルコ、パキスタン、イラクなどと国境を接し、イスラム教を国教とする中東の国イラン。日本のメディアでは、アメリカなどと敵対していたり、核兵器を開発していたりと、どうも危ない雰囲気を持った姿で描かれることが多い印象です。そんなイランですが、筆者は2015年3月に2週間ほど旅をし、そこで受けた印象は日本で抱いていたものと大きく異なっていました。

イランは危険?

一言で表すと、「思っていたほどでは危険はないかな?」というところ。もちろん、スリやひったくりなど最低限の注意は必要でしょうが、イランは夜でも気軽に外出することが出来る、ちょっと珍しい国なんです。少し前のデータになりますが、国際統計データを扱うグローバルノートによると、人口10万人当たりの殺人発生率は4.77人で、日本でも人気のあるトルコやタイと同程度。ウユニ塩湖で有名なボリビアやマチュピチュのあるペルーよりもずっと少ないんです。

実は親日的なんです!

しかもイランには親日的な人が多いというのが筆者の感想。町を歩いていて日本人だと分かると話しかけられたり、一緒に写真を撮ったり。上の写真は筆者がマシュハドという都市のパン屋で撮ったものですが、この後タダでナンを頂いてしまいました。

前置きが長くなりましたが、そんなイランの新年のお祭りノウルーズをご紹介します!

新しい一日、ノウルーズ(Nowruz)

ノウルーズとはペルシャ語(イランの言葉)で「新しい日」を意味する、新年の始まりの日です。イランの暦では春分の日が正月とされており、日本と同様に祝日となっています。ノウルーズの起源は古く、紀元前6世紀に興ったアケメネス朝の時代よりもはるか昔から行われてきたと言われています。

イランのお供え物、ハフトスィン

イラン特有のお祝いの方法としてハフトスィンというものがあります。これは、リンゴ(Sib)やニンニク(Sir)などスィン(S)の音で始まる7つのものを飾るもの。町を歩いているとこのハフトスィンの他、縁起物とされる金魚やイスラム教の聖典コーランを飾ってる家やお店もよく見かけます。

家族とのつながりが強いイランの人たち

筆者はイランの聖地とされるマシュハドで2015年のノウルーズを迎えました。当日町を歩いていると一人の男性に手招きされ、恐る恐る彼に付いていくと、なんと家族の集まりに招いてくれたのです。そこには遠方から来た親戚の人たちが集まっていました。家族関係を重視するイラン人は、祖父母など年長者の家から順に挨拶に回り、また自宅に招きあうそうです。なんだか昔の日本とソックリで、この体験はイランという国に強い興味を持ったきっかけでした。

イランでもお年玉?!

日本に似ていると言えば、イランにもお年玉の風習があるんです。建物の管理人など普段お世話になっている人たちにいくらかのお金をあげるそうですが、こんなところも日本と似ていてびっくり。馴染みの薄いイランに、親近感さえ湧いてきてしまいます。

イランの人たちはピクニックが大好き!

また、イランの人々はピクニックが大好き。特にノウルーズ最終日の13日目には、家の悪いものを外に追い払うために家族全員でピクニックをする習慣があり、「自然の日」といって祭日になっています。イランの人々がピクニック好きというのが筆者には意外で、たくさんのイラン人が公園などでシートを敷いたりテントを建てたりして楽しそうに談笑している姿は、とても興味深い光景でした。

イランにおける注意事項

とは言え、イスラム教国であるイランには、もちろん私たち日本人には想像も出来ないルールや習慣があります。例えば女性は、旅行者であっても髪を出したり、ミニスカートや半袖の服など肌が露出する服を着ることはできません。また基本的にお酒はタブーとなっているので、酒飲みの人にも少しツライかもしれません。

さらに、悲しいことに東洋人に対して人種差別的な考えを持つイラン人も多少はおり、筆者も何度か不快な目に会いました。親日的かと思えば差別的な言葉を投げかけるイランという国は、筆者にとって非常に分かりづらく、それがゆえに興味をそそられる国です。

最後に

イラン、及びイランの新年のお祭りノウルーズをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?ノウルーズは例年3月に行われており、通常1月に新年を迎える私たちにとっては時期のズレた年明けです。しかしこの時期にイランを訪れると、楽しそうにしているイラン人をそこかしこで見かけ、なぜかこっちまでワクワクしてしまうような雰囲気があります。イランを訪れる際は、ぜひノウルーズの時期に行ってみることを検討してみてはいかがでしょうか?

イラン・イスラム共和国(Islamic Republic of Iran)
アクセス:
日本からイランへの直行便はなく、中東やロシア経由などが一般的。フライト時間は、例えば日本からドバイまでが約10時間、ドバイから首都テヘランまでが約2時間。
石塚皓

2014年7月より、元教師の妻と世界一周の旅を始め、2016年3月に無事、帰国した33歳の元会計士。1年8カ月かけ48カ国を回る中で出会った絶景やオススメのグルメ情報など、旅に関する情報を発信していきます。

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