アメリカ・ユタ州ザイオン国立公園で断崖絶壁エンジェルス・ランディングをハイキング！

エンジェルス・ランディングは、たくさんの岩山がそびえ立つザイオン国立公園のほぼ中央東寄りに位置します。

その頂上では、「天使の降り立つ場所」という美しい名に相応しい、360度の素晴らしい絶景を愉しむことができます。しかし、翼を持つ天使と同じ場所に立とうとするからには、万人向けとは言い難い、なかなかハードなコースが待っています。

こんな断崖絶壁いかがですか？ 行けそうですか?　自撮り棒のカメラに余裕の笑顔を見せるこの男性の両側は、450メートル下までスッパリ切れ落ちています！ 滑落死が何度も起きているこんな岩山の名は、エンジェルじゃなくてデビルズ・ランディングにするべきだろうと言う人もいるほど。

そんな岩山に谷の底から取りつき、岩伝いにスリリングな鎖場をよじ登ってようやくたどり着ける絶景、それがエンジェルス・ランディングです。

エンジェルス・ランディングのトレイルは谷底の駐車場から始まります。そして川沿いを少し歩いたらすぐに、スイッチバックになります。写真はだいぶ上がってきたあたり。写真には写っていない折り返しがまだまだあります。

そして、太陽に晒され続けた南斜面のスイッチバックから一転、ゆったり涼める、その名もRefridgelator canyon（冷蔵庫峡谷）へ。秋の紅葉の季節はとても美しく染まるカエデの谷です。

峡谷に一息ついたのもつかの間、お次はこれ！ 第二のスイッチバックが待っています。こうして全体を見てしまうとうんざりですが、折り返しまでの距離が短いので、最初のスイッチバックよりは少しましです。

スイッチバックを終えると、いよいよお待ちかねの鎖場です。まずは小手調べに、薄い岩盤の折り重なる広い斜面を、鎖伝いに登ります。

岩盤は広めですが、急勾配と滑りやすい岩です。鎖に体を預けずにしっかり足場を確保して慎重に行きます。

途中からは岩山を巻くように行きます。

足元に隙間が空いていたり、谷へ向かってかなり傾斜していたりするところもあるので注意。

このあとは緩やかに少し下りながら鎖をたどる道になり、案外楽勝？と思いますが・・

横腹を巻いて歩いてきた岩山の背後から、垂直に切り立った巨大な岩盤が、どーんと現れます。そう、ここからこそが難所の本番です。

らくだの背のような薄い岩盤の尾根を行きます。一段一段、しっかり足を踏みしめて慎重に。躓いたら、冗談でなく一巻の終わりになりかねません。

鎖場の角度はどんどん急になり、足場が細くなったりしますが、足掛かりになる岩すらもないような超難所はありません。一歩一歩の足場をきちんと確保して、補助のつもりで鎖を握ります。鎖に頼りすぎて足元を疎かにすると体が揺らされて危険です。

周囲の景色は、一息つくたびにどんどん高度を増して、すごい絶景に。

鎖のない石段もあります。一段の高さが案外高いので、岩壁に手をつきながら登ります。

両手両足で頑張らないと登り切れない高さの石段も。

厳しい傾斜の鎖場と石段の繰り返しが続きます。

登り切ると、たくさんの薄い岩盤が平たく並ぶ、開けたところに出ます。ここが頂上！　360度の大パノラマが待っています！

素晴らしい絶景と小リスが登頂者を迎えてくれます。谷の中ほどに突き出して立つエンジェルスランディングをぐるりと取り囲む、巨大な岩山の数々に圧倒されます。

一番高い本当の頂上は、さらにちょっと奥へ行った、この切っ先です。

振り返ると、歩いてきた道のりが遥か向こうに見えます。

谷底の道路を走る二両編成のトラムバスは、まるで米粒のよう（左端）。谷底は恐ろしいほど遥か下です。

絶景を堪能して大自然のパワーをもらったら、長い下りが待っています。もと来た道をすべて戻っていきますので、気を引き締めて下りましょう。

エンジェルスランディングの標高は1765m、トレイル起点から頂上までの標高差は453m。
トレイル往復の距離は9.6km、所要時間は４～５時間です。

エンジェルス・ランディングはザイオン国立公園内にありますので、国立公園の入園料を払う必要があります。
入園料は車一台につき$30（7日間有効）です(車で入らない場合は一人につき$15)。

エンジェルス・ランディングはシャトルバス以外の車が通行できないエリアにありますので、国立公園エントランスを入った先の停留所からシャトルバスに乗り、The Grottoという停留所で降りるとトレイルが始まります。
※シャトルバスが運行しないオフシーズン(通常11月~3月)のみ、自家用車でThe Grottoに行くことが認められています。