英国発祥バーレーワインをアメリカで飲む!オールドフォグフォーンビールが最高

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大麦のワインと日本語訳にされるバーレーワインは、18世紀にイギリスの貴族達によってできあがりました。それが19世紀にアメリカに渡り、大流行!アメリカで最初にバーレーワインを造ったのが、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーですが、今は現代版「オールドフォグフォーンビール」として販売されています。醸造所見学ツアーを行っていて、現代版バーレーワインをいただくことができます。

バーレーワインとは?

英語Barley wineと書きます。Barleyとはビールの原料である大麦のこと。通常のビールのアルコール度は5%が多いですが、ワインのように8%~10%高アルコール度数のものを、バーレーワインといいます。

発音では、バーリィですが、日本語で書くときはバーレーワインやバーレイワインと記してあることがほとんどですね。

バーレーワインを造ったのは、イギリス

アルコールの歴史

アルコールの歴史は古く、ビールは紀元前4千年に、メソポタミア文明のシュメール人によって造られていました。またワインは約6000年前にアルメニアで世界最古の醸造所が残っています。

ブドウが栽培できる地域はワイン、できない地域はビールを造ってきたが、キリスト教の伝来とともに、ワインは高級でビールは下賤(げせん)という意識が芽生えてきました。

イギリスにおけるワイン

イギリスでも古来よりブドウの栽培は行われていました。特に中世の温暖期(10世紀~14世紀)と呼ばれる11世紀から12世紀くらいは盛んであったようです。

そこには修道院の存在も大きく、1086年には修道院所有のブドウ園が38カ所あったと記録されています。しかし増えていたブドウ園も、1260年の夏の天候不順でブドウが育たなくて、廃棄された園が数多くありました。

1348年以降、はやった黒死病(ペスト)によって、修道士たちの数が激減してしまい、修道院及びブドウ園を維持していくことが難しくなっていきます。

そして、1350年には最後のブドウ園カンタベリーが放棄されました。

ポルトガルよりワインを輸入

実は100年戦争の一時期、フランスのボルドー地方が領地だった時期もありました。ボルドーはワインで有名ですよね。それで、貴族やお金持ちはボルドー産のワインを飲んでいたのです。

また、12世紀よりポルトガルと交易が盛んだった事から、ポルト酒も輸入します。しかし、ボルドー産のワインに比べたら…。とあまり歓迎されませんでした。

しかし、戦争に負けてボルドーを手放すハメになり、これから美味しいワインが飲めなくなる
!と困っていた頃、ポルトガルでは新しい技術を見つけたのです。

それが、酒精強化ワイン。発酵の途中で77度のブランデーを加える事によって、酵母の働きが止まりちょうどいいワインに仕上がりました。このおいしさにはイギリスもびっくり。大流行しました。

バーレーワイン現る

それでもイギリスにワインが順調に入ってきたかというと、戦争や国交などの問題で困難な時期もありました。

貴族にとってワインは欠かせないものでしたから、敷地内に醸造所を設けて、ワインと同じくらいのアルコール度数のある飲料を造らせ始めました。

新たな飲料を開発するほど食材が豊富にあるわけではないので、大麦を原料としたビール、イギリスはエールビールが主だったので、エールビールのアルコール度数を高める方法が採られました。

1736年の記録では、「ワインのように醸造され、1年以上を木だるで熟成させる。非常に強いエール。目的はワインと同じような扱いができるように醸造された。」とあります。貴族は食事のときに、ワイン代わりにコブレットグラスに入れて飲んでいました。

しかし、アルコール度数を高めるためには、原料を通常の倍以上も使用しなくてはならないので、高価になりすぎて一般に売られることはありませんでした。

民間醸造所で初のバーレーワイン

民間醸造所で初めてバーレーワインを造ったのが、登録商標を世界で初めてとった、レッドトライアングルマークで有名なバスです。

バーレーワインは1854年から、途中1944年から1954年の休止期間はありましたが、1995年まで醸造を続けました。

貴族たちのような造り方では売れないので、商業ベースにのせるために、当初は安いダークモルトを使用するなど工夫しましたが、次第にイギリスでのバーレーワインの需要が減っていき、1995年に醸造を終了しました。

アメリカ初のバーレーワインを醸造する

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所

1970年には、バーレーワインスタイルはアメリカに伝わり、1971年には、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーは、バーレーワインの醸造に着手していました。

しかしバーレーワインは原料が多い上に木だるで1年ほど寝かせるので、アメリカ初のバーレーワインの発売は、1975年でした。


冬季限定としてのバーレーワイン

アメリカのクラフトビール醸造所の間では、バーレーワインスタイルが受け入れられ、多くの醸造所で造られました。1983年冬にシエラネバタ・ブリューイング・カンパニーはバーレーワインの販売を始めました。

「ビックフッド・バーレーワイン・スタイル・エール」を日頃のご愛顧に感謝して、冬季限定として売りだしたわけです。

クリスマスシーズンに合わせての販売でしたので、それ以後お祝いやイベントなどのときに飲みたい一品として、定着してきたようです。

バーレーワインがイギリスで販売された最初の広告にも、「BEST WINTER DRINK!」と銘打ってあったことでも分かる通り、アルコール度数の高いお酒は、適量ならば体を温めます。

イギリス貴族がワインの代わりにと造らせたバーレーワインは、香りをも楽しめるビールですから、誰かとグラスを傾けながら、いただくには最高かもしれませんね。

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所見学ツアー

ゴールドラッシュ時代のビール

19世紀半ば、ドイツからの移民がアメリカに流れてきました。移民の中には、ビール醸造者もたくさんいて、この頃醸造所がたくさんできました。

ドイツからの移民たちは、ドイツと同じ製法でラガービールを醸造しようとしましたが、気候が違うので同じようにはできません。そこで考えだされたのが、ラガー酵母を使って高温で発酵させるというもの。

スチームビールと呼ばれて、20世紀初めまで愛飲されましたが、その後は衰退していきます。この製法でビールを造り続けていたのが、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーです。

アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニー

アンカーの前身である醸造所を立ち上げたのが、1871年。それから25年後の1896年に古い醸造所を6カ所購入して、名前をアンカーとしたことが、始まりとされています。

でも順風満帆にはいかず災難ばかりが続き、しまいには禁酒法が施行されて、閉鎖するしかありませんでした。

禁酒法が解かれた1933年にもう一度醸造を始めますが、その後も災難続きで売り上げも減少していき、1960年にはすべてを閉鎖する準備を始めていました。

1965年その危機を救ったのが、アイオワ州ニュートンにあった家電メーカー、メイタグの創業者の孫であったフリッツ・メイタグ氏でした。

1971年には現代版アンカー・スチーム・ビールの醸造、1975年に今後の主要商品となる4種類のビールを生産しています。

これから後は飛躍的に伸びていき、1993年にはウイスキーの蒸留も始めています。

蒸留所見学

約1時間30分かけて、アンカーの歴史からビールの醸造について見学します。

伝統を引き継ぎつつも、最新設備を整えるなど融合させた形で、ビールが醸造されていることに驚きます。

仕込み釜が銅製なのは昔からの伝統で、どこのビールメーカーでも銅製を使っています。それは銅は熱伝導がよく、耐久性に優れているから。

でももう一つ重要な事があって、発酵中に麦芽から硫黄化合物などの悪臭がするのですが、銅はこれを消す作用があるのです。そして、ビールの風味を良くしてくれます。

スチームビールの発酵中ですが、スチームビールは泡が多くてあふれ出ることがよくあるようです。

勢い良くあふれ出る泡は、まるで生きているようにも見えますよ。

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所(Anchor Brewing Company)
住所:
1705 Mariposa St.San Francisco,CA 94107 United States
営業時間:
10:00~14:00
アクセス:
11th Sta & market St バス Potrero Ave & 16th St 下車徒歩9分
定休日:
祝日
電話番号:
+1 415 863 8350
料金:
大人21歳以上15ドル(試飲付き)
見学ツアー:
3ヶ月前からウェブサイトでの予約制、月~金10:00と13:00、土日11:00と14:00
駐車場:
なし、公共機関にてお越しください

まとめ

アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーは、バーレーワインを初めて醸造したり、スチームビールを最後まで造り続けたりと、根性のある醸造所であると感じます。

新しいことを計画しているようなので、今後が楽しみです。

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