英国発祥バーレーワインをアメリカで飲む!オールドフォグフォーンビールが最高

4,770

views

0

大麦のワインと日本語訳にされるバーレーワインは、18世紀にイギリスの貴族達によってできあがりました。それが19世紀にアメリカに渡り、大流行!アメリカで最初にバーレーワインを造ったのが、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーですが、今は現代版「オールドフォグフォーンビール」として販売されています。醸造所見学ツアーを行っていて、現代版バーレーワインをいただくことができます。

バーレーワインとは?

英語Barley wineと書きます。Barleyとはビールの原料である大麦のこと。通常のビールのアルコール度は5%が多いですが、ワインのように8%~10%高アルコール度数のものを、バーレーワインといいます。

発音では、バーリィですが、日本語で書くときはバーレーワインやバーレイワインと記してあることがほとんどですね。

バーレーワインを造ったのは、イギリス

アルコールの歴史

アルコールの歴史は古く、ビールは紀元前4千年に、メソポタミア文明のシュメール人によって造られていました。またワインは約6000年前にアルメニアで世界最古の醸造所が残っています。

ブドウが栽培できる地域はワイン、できない地域はビールを造ってきたが、キリスト教の伝来とともに、ワインは高級でビールは下賤(げせん)という意識が芽生えてきました。

イギリスにおけるワイン

イギリスでも古来よりブドウの栽培は行われていました。特に中世の温暖期(10世紀~14世紀)と呼ばれる11世紀から12世紀くらいは盛んであったようです。

そこには修道院の存在も大きく、1086年には修道院所有のブドウ園が38カ所あったと記録されています。しかし増えていたブドウ園も、1260年の夏の天候不順でブドウが育たなくて、廃棄された園が数多くありました。

1348年以降、はやった黒死病(ペスト)によって、修道士たちの数が激減してしまい、修道院及びブドウ園を維持していくことが難しくなっていきます。

そして、1350年には最後のブドウ園カンタベリーが放棄されました。

ポルトガルよりワインを輸入

実は100年戦争の一時期、フランスのボルドー地方が領地だった時期もありました。ボルドーはワインで有名ですよね。それで、貴族やお金持ちはボルドー産のワインを飲んでいたのです。

また、12世紀よりポルトガルと交易が盛んだった事から、ポルト酒も輸入します。しかし、ボルドー産のワインに比べたら…。とあまり歓迎されませんでした。

しかし、戦争に負けてボルドーを手放すハメになり、これから美味しいワインが飲めなくなる
!と困っていた頃、ポルトガルでは新しい技術を見つけたのです。

それが、酒精強化ワイン。発酵の途中で77度のブランデーを加える事によって、酵母の働きが止まりちょうどいいワインに仕上がりました。このおいしさにはイギリスもびっくり。大流行しました。

バーレーワイン現る

それでもイギリスにワインが順調に入ってきたかというと、戦争や国交などの問題で困難な時期もありました。

貴族にとってワインは欠かせないものでしたから、敷地内に醸造所を設けて、ワインと同じくらいのアルコール度数のある飲料を造らせ始めました。

新たな飲料を開発するほど食材が豊富にあるわけではないので、大麦を原料としたビール、イギリスはエールビールが主だったので、エールビールのアルコール度数を高める方法が採られました。

1736年の記録では、「ワインのように醸造され、1年以上を木だるで熟成させる。非常に強いエール。目的はワインと同じような扱いができるように醸造された。」とあります。貴族は食事のときに、ワイン代わりにコブレットグラスに入れて飲んでいました。

しかし、アルコール度数を高めるためには、原料を通常の倍以上も使用しなくてはならないので、高価になりすぎて一般に売られることはありませんでした。

民間醸造所で初のバーレーワイン

民間醸造所で初めてバーレーワインを造ったのが、登録商標を世界で初めてとった、レッドトライアングルマークで有名なバスです。

バーレーワインは1854年から、途中1944年から1954年の休止期間はありましたが、1995年まで醸造を続けました。

貴族たちのような造り方では売れないので、商業ベースにのせるために、当初は安いダークモルトを使用するなど工夫しましたが、次第にイギリスでのバーレーワインの需要が減っていき、1995年に醸造を終了しました。

アメリカ初のバーレーワインを醸造する

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所

1970年には、バーレーワインスタイルはアメリカに伝わり、1971年には、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーは、バーレーワインの醸造に着手していました。

しかしバーレーワインは原料が多い上に木だるで1年ほど寝かせるので、アメリカ初のバーレーワインの発売は、1975年でした。


冬季限定としてのバーレーワイン

アメリカのクラフトビール醸造所の間では、バーレーワインスタイルが受け入れられ、多くの醸造所で造られました。1983年冬にシエラネバタ・ブリューイング・カンパニーはバーレーワインの販売を始めました。

「ビックフッド・バーレーワイン・スタイル・エール」を日頃のご愛顧に感謝して、冬季限定として売りだしたわけです。

クリスマスシーズンに合わせての販売でしたので、それ以後お祝いやイベントなどのときに飲みたい一品として、定着してきたようです。

バーレーワインがイギリスで販売された最初の広告にも、「BEST WINTER DRINK!」と銘打ってあったことでも分かる通り、アルコール度数の高いお酒は、適量ならば体を温めます。

イギリス貴族がワインの代わりにと造らせたバーレーワインは、香りをも楽しめるビールですから、誰かとグラスを傾けながら、いただくには最高かもしれませんね。

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所見学ツアー

ゴールドラッシュ時代のビール

19世紀半ば、ドイツからの移民がアメリカに流れてきました。移民の中には、ビール醸造者もたくさんいて、この頃醸造所がたくさんできました。

ドイツからの移民たちは、ドイツと同じ製法でラガービールを醸造しようとしましたが、気候が違うので同じようにはできません。そこで考えだされたのが、ラガー酵母を使って高温で発酵させるというもの。

スチームビールと呼ばれて、20世紀初めまで愛飲されましたが、その後は衰退していきます。この製法でビールを造り続けていたのが、アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーです。

アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニー

アンカーの前身である醸造所を立ち上げたのが、1871年。それから25年後の1896年に古い醸造所を6カ所購入して、名前をアンカーとしたことが、始まりとされています。

でも順風満帆にはいかず災難ばかりが続き、しまいには禁酒法が施行されて、閉鎖するしかありませんでした。

禁酒法が解かれた1933年にもう一度醸造を始めますが、その後も災難続きで売り上げも減少していき、1960年にはすべてを閉鎖する準備を始めていました。

1965年その危機を救ったのが、アイオワ州ニュートンにあった家電メーカー、メイタグの創業者の孫であったフリッツ・メイタグ氏でした。

1971年には現代版アンカー・スチーム・ビールの醸造、1975年に今後の主要商品となる4種類のビールを生産しています。

これから後は飛躍的に伸びていき、1993年にはウイスキーの蒸留も始めています。

蒸留所見学

約1時間30分かけて、アンカーの歴史からビールの醸造について見学します。

伝統を引き継ぎつつも、最新設備を整えるなど融合させた形で、ビールが醸造されていることに驚きます。

仕込み釜が銅製なのは昔からの伝統で、どこのビールメーカーでも銅製を使っています。それは銅は熱伝導がよく、耐久性に優れているから。

でももう一つ重要な事があって、発酵中に麦芽から硫黄化合物などの悪臭がするのですが、銅はこれを消す作用があるのです。そして、ビールの風味を良くしてくれます。

スチームビールの発酵中ですが、スチームビールは泡が多くてあふれ出ることがよくあるようです。

勢い良くあふれ出る泡は、まるで生きているようにも見えますよ。

アンカー・オールド・フォグフォーン醸造所(Anchor Brewing Company)
住所:
1705 Mariposa St.San Francisco,CA 94107 United States
営業時間:
10:00~14:00
アクセス:
11th Sta & market St バス Potrero Ave & 16th St 下車徒歩9分
定休日:
祝日
電話番号:
+1 415 863 8350
料金:
大人21歳以上15ドル(試飲付き)
見学ツアー:
3ヶ月前からウェブサイトでの予約制、月~金10:00と13:00、土日11:00と14:00
駐車場:
なし、公共機関にてお越しください

まとめ

アンカー・オールド・フォグフォーン・カンパニーは、バーレーワインを初めて醸造したり、スチームビールを最後まで造り続けたりと、根性のある醸造所であると感じます。

新しいことを計画しているようなので、今後が楽しみです。

この記事を読んだあなたにオススメの記事
  • ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのおすすめお土産特集

    アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス郡にあるユニバーサルスタジオ ハリウッドは映画を題材にしたテーマパークです。日本でもおなじみのテーマパークですが、ユニバーサルスタジオ ハリウッドでは敷地内に現在も使われている映画スタジオがあることでも有名。今回は日本の倍以上も広いユニバーサルスタジオ ハリウッドで購入したいお土産を紹介します。

  • ロサンゼルス「メルローズ・アベニュー」で買い物ならココ!...

    ロサンゼルスといえばファッションの街!お洒落で美容意識が高い人が多く、ロスにあるストアもお洒落なところが多いです。アメリカに行ったら、日本未発売のお洒落ファッションアイテムを手に入れたいところですよね。そこで今回は、ハリウッド・メルローズ・アベニューでオススメのファッション・ストア4店をご紹介していきます!

  • インスタフォロワー1万人越の私が教える!ロサンゼルスのフォ...

    "Insta Worthy"とはインスタする価値のあるという意味の現代語!可愛いカフェや綺麗な場所にいったらインスタしたいのは世界共通。私は元LA在住ですが、その後も遊びに行く度に”これぞLA”って感じの写真を撮ってインスタにアップ♪また有名Instagrammerが多いのもLA。ブロガーたちのポストには写真のインスピレーションがいっぱい。アイコニックな場所を訪れて、記憶に残るLA旅行の様子を収めましょう!この記事ではLAで行くべき撮影スポットを5つご紹介!

  • ビバリーヒルズでセレブの豪邸を見に行こう!

    カリフォルニア州ロサンゼルスの西部にあるビバリーヒルズ は、高級住宅街として有名な場所だけあって大スターのお宅を巡るツアーなんてのもあるほど。 ”ビバリーヒルズに住む”それこそがスターの証とも言える、この場所に居を構える誰しもが知る有名人の豪邸を紹介します。

  • サンフランシスコ観光を100%満喫する!行かなきゃ損な鉄板コ...

    写真好きの人におすすめしたい街サンフランシスコ!今回ご紹介する鉄板観光スポットで、思う存分写真を撮ってみませんか?どこを切り取ってもフォトジェニックな街ですが、さらにさらに素敵な一枚が狙えますよ。お気に入りのカメラとの二人旅に出かけましょう!

  • カリフォルニアディズニーランドだけのお土産をゲット!人気...

    せっかく海外のディズニーランドに来たのなら、お土産にもこだわりたいところ。カリフォルニアでしか買えないグッズが手に入るお土産ショップを5つご紹介します♪

このエリアの新着記事
  • サンフランシスコ国際空港(SFO)完全ガイド!暇つぶし場所や...

    サンフランシスコ国際空港のみどころを紹介します。空港の概要や空港の暇つぶしに最適な数々のスポットをはじめショッピング、グルメ、シャワールームの情報などを満載。市内へのアクセスや近隣ホテル情報も含め、サンフランシスコ国際空港を徹底解説します。

  • サンフランシスコ・ミッション地区バレンシアストリートのお...

    サンフランシスコは、エリアによって非常に特徴のある町です。今回紹介するのは、ミッション地区のバレンシアストリートに立地するレストランやお店です。さまざまな人種の人たちが住んでいることもあり、多種多様の風景や文化を感じ取ることができるのではないでしょうか?

  • 【ロサンゼルス】メルローズ&ラ・ブレア地区のレストランお...

    LAで人気のショッピングエリアと言えば、LAメルローズ(Melrose)&ラ・ブレア(La Brea)地区。実は、買い物が楽しめるショップだけでなくレストランも充実しているのです。買い物途中のランチに、買い物終わりのディナーに、ぜひ立ち寄りたいレストランをご紹介します!

  • ロサンゼルスに旅行に来たら必ず行きたいセレブの集まるレス...

    ハリウッドスターや有名ミュージシャンなどのセレブはどんなお店で楽しい一時を過ごしているのでしょうか?老舗から今話題の最新スポットまでご紹介!

  • カリフォルニアディズニーランドリゾート・ダウンタウン・デ...

    カリフォルニアディズニーランドリゾート内のダウンタウン・ディズニーはショップやレストランが建ち並ぶエンターテイメントエリア。その中でも、特におすすめのレストラン「Tortilla Jo's」と限定商品が手に入る「World of Disney」をご紹介します!

  • サンフランシスコ・ユニオンスクエアで人気のステーキ&グリ...

    たくさんのホテルやショップ、レストランが集まるユニオンスクエアは、サンフランシスコでも観光の中心地のひとつです。今回はその中でもおいしいアメリカ料理を味わえるお店をご紹介します。分厚いお肉が食べたい!そんな衝動に駆られたときに行ってみて欲しいレストランです♪

  • ロサンゼルスで人気の二大メキシコ料理チェーン店エル・チョ...

    ロサンゼルスは、アメリカの中でとくにメキシコ系の住民が多いエリア。メキシコ料理が食べられるお店も数多く存在します。老舗のエル・チョロ(El Cholo)とニューウェーブのピンク・タコ(Pink Taco)はロサンゼルスのグルメ界でも評判のメキシカンチェーン店。それぞれのタコスとエンチラーダを比較し、さらにおすすめの1品をご紹介します。

  • サンフランシスコ観光ならアラモ・スクエアへ!「フルハウス...

    オルセン姉妹が子役として知名度をあげたアメリカのシットコム「フルハウス」のロケ地でも有名なペインテッド・レディース(19世紀のビクトリア建築)の家並みとその向こうに見えるダウンタウンを一枚の写真に収めなきゃ、サンフランシスコ観光は語れない!?

  • ロサンゼルス・ハリウッドのお土産ショッピングスポット&人...

    アメリカ西海岸ロサンゼルスにある映画産業で栄えたハリウッド。テレビでもよく使用されているハリウッドサインは、「1度は見てみたい!」という人も多いはず。観光の合間、食事やカフェ休憩も必要ですし、買い物したいお店をその場で探すのも一苦労。今回は、今から知っておくべき選りすぐりの5店をご紹介します!

  • カリフォルニアディズニーランドのファンタジックなショーが...

    カリフォルニア州にある世界で一番最初に出来たディズニーランド。ここで見られる夢に溢れたファンタジックなエンターテインメントをご紹介します♪

このエリアの人気記事
今週の人気記事