バーチャルツアーができる世界の美術館10選！お家にいながら世界を旅しよう

パソコンやスマートフォン、タブレットなどの普及により、より身近になったインターネットの世界。様々な情報が得られるだけでなく、離れた場所にいる人達とのつながりや情報交換などの交流が出来たり、よりリアルタイムに最新の情報や遠く離れた場所の現状を知ることが出来るようになりました。さらに、3Dモデルやバーチャル映像（仮想空間）などの技術も、より精度の高いものとなり、インターネット上で、あたかもそのものが、その場所にあるように見ることが出来るようになりました。そんな時代の中、コロナウィルスの感染拡大という世界的にも大きな問題が起こり、この「バーチャル」というものを、よく耳にするようになりました。

今まで当たり前に出来ていた海外旅行が出来なくなり、現地に住んでいる人にとっても、その土地の美術館や博物館など、人が多く集まる場所には、なかなかいくことが出来なくなりました。そこで注目されたのが、美術館や博物館、遺跡などをインターネット上で見学できるバーチャルツアーです。

バーチャルツアーは、美術館や博物館が独自に、公式ホームページなどで紹介しているものもあれば、Googleのサービスを利用して公開している場合もあります。皆さんがよくご存じの「グーグルストリートビュー」のように、事前に撮影された360度の画像をつなげて出来たオンライン上の空間の中を、移動可能なルートや範囲にそって自由に移動し閲覧できるものです。これは、美術館や博物館、遺跡など、見学をする場所に適しています。

バーチャルツアー以外に、オンラインビューイングや、オンラインツアーという言葉もよく聞くようになりました。オンラインビューイングは、美術館の1室のような、ある1つの広い空間の1つのポイントを中心に360度見まわすことが出来る仕組みです。そして、オンラインツアーは、最近流行りのZOOMやSkypeなどのオンラインミーティングの仕組みを使用して、現地のガイドツアーをオンラインで配信するものです。これらを活用して、自宅にいながら世界を旅することが出来るようになりました。今回は、バーチャルツアーが出来る世界の美術館・博物館を10選、ご紹介します。

芸術の都フランスのパリにある世界的に有名な美術館、ルーヴル美術館。フランスの王が要塞として建てたルーヴル城を改装したもので、世界最大級の美術館であり、世界最大級の史跡のひとつと言われています。その所蔵作品数は38万点以上、総面積6万平方メートル、例えるならば東京ドームの1.5倍の広さになります。ルーヴル城を美術館として使用することが決定された際、フランス国内で保有する優れた美術品や芸術品がここに集められました。その後も遺贈や寄贈を重ね、フランスだけでなく世界の有名な芸術作品が多く展示されるようになりました。

ルーヴル美術館の代表作といえば、レオナルドダヴィンチ作のモナ・リザや、民衆を導く自由の女神の絵画、サモトラケのニケや、ミロのヴィーナスなどの彫刻があります。これらの実際のものを見ようと、年間800万人以上、最大で1日5000人以上もの人々が、ルーヴル美術館を訪れていました。ルーヴル美術館では、2020年10月29日以降コロナウィルスの影響により一時休館となっています。ホームページには以前からバーチャルツアーが公開されています。館内を360度見まわせる「オンラインビューイング」や、グーグルストリートビューのように館内を決められたルートにそって移動することの出来る「バーチャルツアー」があります。さらに、ルーヴル美術館内の作品10点を紹介するオンライン講座の配信（有料）も行われているので、自宅にいながら、ルーヴル美術館の芸術作品を楽しむことが出来ます。

イタリア国内にある世界で最も小さい国、バチカン市国は、世界的にも有名で評価の高い芸術作品や美術品の宝庫と言われています。そこにあるのが、人気の美術館「ヴァチカン美術館」です。ヴァチカン美術館は、歴代のローマ皇帝の収集品を集め、展示している世界最大級の美術館です。ヴァチカン美術館の代表作といえば、イタリアの彫刻家、画家、建築家、詩人ミケランジェロの「ピエタの像」（レプリカ）や、システィーナ礼拝堂の壁に描かれた「最後の審判」、イタリアの画家、建築家ラファエロ・サンティの「ラファエロの間」の壁の絵。

通常であれば、いつ来ても混雑していて、長蛇の列が出来ていると言われているヴァチカン美術館。そして、見逃せない観光スポットがたくさんあるイタリアですから、なかなかゆっくりと時間をとって美術館を楽しむことが出来ないという声も多く聞きます。そこで、ヴァチカン美術館のバーチャルツアーを使えば、自宅にいながら、有名な芸術作品を楽しむことが出来ます。ヴァチカン美術館の公式ホームページで紹介されている「Google Arts＆Culture」を利用したバーチャルツアーを使用して、館内全14か所を360度見渡すことが出来ます。さらに、決められた範囲、ルート内で、自由に館内を動き回ったり、作品を拡大してみることも出来ます。

アメリカ合衆国ニューヨークにある「メトロポリタン美術館」は、世界三大美術館のうちの1つです。ニューヨーク市内マンハッタンに景観を重視して作られた有名な公園、セントラルパークの東側、5番街に位置します。メトロポリタン美術館は、増築を重ね、現在では総面積18万平方メートルを超える敷地の中に、約300万点をも超える作品を所蔵しています。その収蔵品の数々は、5000年以上ともいわれる美術、芸術の歴史や文化を現代に伝えるかのように、地元の人だけでなく世界中から訪れる人々に楽しまれています。アメリカ、エジプト、ヨーロッパの絵画や彫刻、装飾芸術、古代、中世、現代美術と、幅広い展示品は訪れる人を飽きさせません。

メトロポリタン美術館では、幅広い年代やジャンルの美術品の中に、ピカソやモネ、ルノワール、ミケランジェロ、ゴッホなど、世界的に有名な画家たちの作品が多く展示されています。これらの多くの作品は、メトロポリタン美術館のバーチャルツアーで楽しむことが出来ます。「Google Arts ＆Culture」で提供されているものや、公式ホームページで紹介されているYouTubeを利用した「The Met 360° Project」というものでも、館内を360度ぐるりと見まわすことが出来ます。その他、大手の旅行会社が企画している、ニューヨーク市公認ガイドが解説するメトロポリタン美術館のオンラインツアーもあります。

スミソニアン・国立自然史博物館はアメリカ合衆国のワシントンD.C.にある博物館です。ワシントンにいったら必ず訪れたいおすすめの観光スポットです。それというのも、スミソニアン・国立自然史博物館は、2009年5月に公開された「ナイトミュージアム2」の舞台となった場所なのです。ちなみに、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館は、2006年12月にアメリカで公開された人気映画「ナイト・ミュージアム」の撮影場所です。スミソニアン・国立自然史博物館に入ると、まず目に入るのが大きく迫力のあるアフリカゾウのはく製模型。そして、恐竜の化石や植物、動物の化石、鉱物、などそのコレクションは1億2千5百万個にも及ぶそうです。

アメリカのスミソニアン協会が所有する博物館や美術館の中でも最も歴史があり、かつコレクション数の多いスミソニアン・国立自然史博物館は、地球が誕生した頃から存在する植物や生物に関するものが展示されています。恐竜の骨や化石はとくに、子供にも大人気です。そんなスミソニアン・国立自然史博物館のバーチャルツアーは、公式ホームページ内から閲覧出来ます。エントランスのアフリカ象のはく製模型ももちろんご覧いただけますよ。地図で、今どこにいるのか、どちらを向いているのかがわかるので、見たいもののところに自由に簡単にいけるのもポイントです。

J・ポール・ゲティ美術館はアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスにある美術館です。美術館の名前でもある、ジャン・ポール・ゲティは、アメリカの実業家であり、石油王でもある大富豪です。そのジャン・ポール・ゲティが生前にコレクションしていた、ヨーロッパ絵画や彫刻、デッサン、装飾芸術品などを展示しています。このJ・ポール・ゲティ美術館は、サンタモニカ山脈に位置し、ロサンゼルスの街並みを見下ろす、絶景をもつ美術館としても知られています。

J・ポール・ゲティ美術館はゲッティ・センターとゲティ・ヴィラの2つの美術館から構成されます。白を基調としたゲッティ・センター館内は、とても落ち着いた雰囲気と、洗練された芸術を楽しむ場所としてぴったりです。J・ポール・ゲティ美術館のバーチャルツアーは、「Google Arts＆Culture」を利用して楽しむことが出来ます。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、ニューヨークのセントラルパークに隣接した、アッパーイーストサイドという場所にある美術館です。1937年に設置された比較的新しい美術館で、近現代アートに特化した美術館です。外観は、丸い輪っかが重なったようなかたちが特徴的で、これは、中に入ると、らせん状のスロープのような廊下が展示スペースとなっているからだとわかります。

グッゲンハイム美術館の近現代アート作品には、特にパブロ・ピカソの作品が多く展示されていて、最も多くピカソの作品を所蔵する美術館のうちの1つともいわれています。その他の近現代アートには、ゴッホやシャガール、ゴーギャンなどの印象派や表現主義とよばれる画家たちの作品も多く展示されています。グッゲンハイム美術館では、「Google Arts and Culture.」で閲覧可能です。グッゲンハイム美術館の特徴的ならせん状の展示スペースを、オンライン上で歩いてみて下さい。

国立故宮博物院は台湾の中の台北市内にある、中国の国立美術館のうち最大規模の美術館となります。中国の歴代王朝の皇帝たちのコレクションで、古代中国から明・清時代の中国美術、そして文化や芸術の優れたものが展示されています。敷地面積は約1万平米とさほど大きくはありませんが、その敷地に建てられた故宮博物館は、中国を代表するお城のような壮大さがあり、装飾や建築なども中国文化を強く感じさせるものです。

国立故宮博物院の見どころといえば、やっぱり「翠玉白菜」と「肉形石」です。「翠玉白菜」は、その名の通り、翡翠で作られた白菜です。翡翠は、海外ではジェイドやグリーンストーンとよばれ、願掛けや贈り物として重宝されています。とても細かく再現された白菜には、可愛く虫ものっています。昔、嫁入り道具として使われた翠玉白菜は、純潔さを意味するものであったり、子孫繁栄を願ったといわれています。残念ながら、台北故宮博物院(北院)での展示は2020年1月16日までとなっているそうなので、国立故宮博物院では見られません。国立故宮博物館のバーチャルツアーは、「Google Arts＆Culture」のものと、公式ホームページでみる「720°VR走進故宮」があります。

オーストラリアの都市メルボルンにあるメルボルン博物館は2000年に建てられた、比較的新しい博物館です。同じ敷地内に、世界文化遺産に登録されている王立展示館とカールトン庭園があります。南半球で最大の博物館と言われています。特に、オーストラリアの先住民族アボリジニの文化、生活などを学べたり、オーストラリアに古くから生息する動物や植物、その化石やはく製などが展示してあるお部屋はとても人気です。

メルボルン博物館内にある恐竜の骨、化石などの展示は、特に子供には大人気です。これらをメルボルン博物館のバーチャルツアーで見学することが出来ます。公式ホームページ内にある「At Home」というコーナーに用意されたバーチャルツアーには、「先住民族アボリジニの歴史」や「恐竜の歩み」、「地球の成り立ち」、「水中の生物の暮らし」などのいくつかのテーマに分かれて用意されています。

ビクトリア国立美術館は、オーストラリアの都市メルボルンにあります。1861年に建てられた美術館でオーストラリア国内最古のものと言われています。メルボルンのランドマークであるフリンダース駅の裏手にあり、メルボルンでは最も人気な観光スポットの1つです。美術館には、7万点を超える多くの収蔵品が展示されており、それらは、アメリカやヨーロッパ、アジア、オセアニアなど幅広いジャンルの優れた美術品です。それでいて、入場料が無料なので、たくさんの人が訪れています。

かなり多くのジャンルや国の絵画や彫刻、骨董品や写真などが展示されているため、あまり美術館や博物館に行くことがない人でも、飽きることなく楽しめます。入場料が無料な点と、展示品の多さが人気の理由ですね。ビクトリア国立美術館のバーチャルツアーは公式ホームページ内で紹介されています。3年に1度開催される「the NGV Triennial 2020」や、「20世紀のオーストラリア美術」、「17、18世紀のイギリス、ヨーロッパコレクション」、「日本現代美術」などのテーマに分かれて閲覧出来ます。

ブラジルの都市サンパウロにあるサンパウロ美術館は、1947年に設立された南半球最大の現代美術を扱う美術館です。ルノワールの「エリザベスとアリス・カーン・ダンヴェール」やゴッホの「少年（カミーユ・ルーラン）」など、15〜20世紀に活躍した人気の画家たちの作品を多く展示していて、それもまた、南半球屈指の美術館といわれる理由です。サンパウロ美術館は、20世紀に活躍したイタリアの女性建築家によって建てられ、地上に浮いているかたちの美術館とその下の広場は、街の人々の憩いの場となっています。

絵画などの美術品が、ガラスに入れられ、宙に浮いているように展示されているのも特徴的です。サンパウロ美術館のバーチャルツアーは、「Google Arts＆Culture」で閲覧可能です。ルノワールやモネ、ティントレット、エル・グレコの作品などの注目すべきところに、絵画の説明が出てくるので、作品の画家や年代など様々な情報を得ることが出来ます。多くの有名な画家たちの作品が展示されているため、バーチャルツアーを使って、自宅でゆっくりと鑑賞出来るのは、とってもいいですね。

バーチャルツアーが出来る世界の美術館・博物館を10選、ご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。皆さんが気になる場所はありましたか。海外旅行に行けない今、少しでも、海外の美術館や博物館を身近に感じて、そこに展示されている芸術作品を見学できるのは、とってもいいことですよね。旅行が出来ないので、その土地の食べ物や、お酒などのお土産にも人気の商品を購入して、自宅で海外気分に浸りながら、バーチャルツアーを楽しむ方もいらっしゃるそうです。

早くコロナウィルスが終息して、以前と変わらないかたちで海外旅行が出来るようになる日を願っていますが、このように、他の楽しみ方が出来るのも素敵なことですね。皆さんも、海外の気になる場所や、お気に入りの場所がバーチャルツアーをやっていないか、グーグルストリートビューで見られないか、ぜひ調べてみて下さい。自宅にいながら、のんびりと貴方だけの世界旅行を楽しんでみて下さいね。それでは、今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

※美術館の営業情報やバーチャルツアーの配信状況は、予告なく変更となる可能性がございます。各美術館の公式ホームページでご確認下さい。