1366年に創業されたデン・ホールン醸造所を購入して、アルトワ醸造所に社名変更したセバスチャン・アルトワ氏。品質重視のおいしいビールを造り続け、死後も妻や子ども、孫へと引き継がれていきました。1926年のX'masに、限定商品として「ステラ・アルトワ」と名付けたラガービールを発売すると瞬く間に人気になり、数年後には通年商品となります。ベルギーではアルコール度の高いエールビールが主だったので、暑い夏などにゴクゴク飲めるラガービールはサイコーだったのでしょう。また専用のグラスを使用し、9つのステップを経て注が
ルーヴェンは円の街。外周から中心に向かっていくと、街の中心地に着きます。
591年前の1425年に設立されたルーヴェン・カトリック大学があり、街には教授や学生など、学校関係者が住む街なので、落ち着いた雰囲気があります。
団体の観光客は少なく、街に溶け込むにはもってこい！学生向けの安いレストランや地元で人気のお店を堪能できますよ。
ステラ・アルトワ社は買収に買収を重ねて、現在は世界最大のビール会社になっています。
またイギリスのSABミラー社も買収が決定しており、2016年後半には手続きが完了する予定。
アビィビールとして有名なレフ。
1240年に、レフ修道院がサン・メダール醸造所を購入してからビールの製造が始まりました。
いろいろな苦難を乗り越えてビールの醸造を行ってきたレフ修道院ですが、1952年に、とうとうニス修道院長からビール職人のアルベル・ロートヴェートに伝授されました。
それから25年後に、ステラ・アルトワ社が買収。アルトワ社はその後も買収を続け、1987年にはピエブフ社と合併して、社名をインターブルー社に変更しました。
2004年には、ブラジルのビール会社であるアンベブと合併して、社名をインベブ社と変更。
2008年、バドワイザーを製造しているアンハイザー・ブッシュ社を買収。社名をアンハイザー・ブッシュ・インベブ社と変更し、この買収をもって世界第1位のビール会社になりました。
ビールの町として有名なベルギーのルーベンで、1366年にデン・ホールン醸造所が創業しました。
14世紀のこの頃には、ブリュッセルでビール技術独占のためのギルド（組織）が結成され、「ビール業界」なるものが発足したのです。
これ以前は修道院で醸造されていて商売用ではありませんでしたが、ギルドが結成されたことにより、ビールを販売して利益を得る醸造所が多数現れました。
出典：youtube
デン・ホールン醸造所は約4世紀もの間、ビールを醸造し続けました。
しかし、醸造所を売却することになったとき、その醸造所で働いていたセバスチャン・アルトワ氏が名乗りをあげたのです。
セバスチャン・アルトワ氏はとても優秀で、1708年にルーヴェン酒造組合（ギルド）に醸造マスターとして入っていました。
そして、1717年にデン・ホールン醸造所を購入し、アルトワ醸造所と社名変更します。
動画はセバスチャン・アルトワ氏が醸造所を購入するために、家財道具を売り払い購入する様子が、コミカルに描かれています。
当時、ルーヴェンで醸造されていたのは上面発酵ビールでした。
アルトワ醸造所は、デン・ホールン醸造所が品質重視のビールを造り続けたように、おいしい上面発酵ビールを造ることにこだわり続けました。
そして、セバスチャン・アルトワ氏は、アルトワ醸造所とおいしいビールの醸造方法を残してこの世を去ります。
残された醸造所を妻のイザベラ・アルトワ氏が切り盛りして、ステップアップしていきました。
妻イザベラの勇ましい動画もありますので、興味のある方はご覧になってみてください。
1892年に、下面発酵いわゆるラガービールを製品名「ボック」で製造開始。これ以後、ラガービールを造っていきます。
そして、1926年のクリスマス。限定ビール「ステラ・アルトワ」を発売。ベルギーでは珍しい下面発酵ビールが発売されたということと、クリスマス限定ということがウケて大人気になりました。
限定ではなく通年で販売して！との声に応え、何年か後には通年で販売されるようになりました。
1930年にはヨーロッパへ輸出するようになり、生産量は増えて行きました。
しかし、1939年に第二次世界大戦が起こり、戦争中は生産を中止せざるをえませんでした。
戦後、「レフ」の買収を皮切りに、次々と買収を繰り返して巨大化していきますが、新商品もしっかりと世に送り出しています。
ステラ・アルトワビールを飲むには専用のグラスがあり、9つのステップがあります。
バーテンダーが9つのステップで技術を競う、「ステラ・アルトワ・ワールド・ドラフト・マスター・世界大会」と「日本大会」が行われています。
そのような大会を開いて技術の向上を目指しているからこそ、お店で美味しいステラ・アルトワのビールを飲むことができるのでしょう。
世界1位のビール醸造所の建物は、とても大きくて迫力があります。
受付を済ませると、安全ベルトを着用して工場内を見学します。
ガイド付きツアーですと、ガイドさんがステラ・アルトワの歴史からビールができるまで、どんな原材料を使ってビールを造っているかなど、詳しく説明してくれます。
自動で製造されているので、ただの見学だと「見て終わり」になってしまうので、できればガイド付きツアーに参加されたほうがいいでしょう。
ただし、オランダ語と英語のみになります。
ウイスキーとは違って、ビール会社のほとんどは仕込み釜を銅からステンレスに変えています。
ステンレス鋼ができたのが1912年。ステンレスは、食品の味や香り、見た目に変化を与えず、錆びにくく耐久性があります。そして、銅に比べメンテナンスが楽という利点もあります。
副原料が入るビールにステンレスは最適なのでしょう。ステラ・アルトワでもステンレス釜を使用しています。
最後はお待ちかねの試飲です。
専用のグラスで飲むステラ・アルトワのラガービールは最高！
夢を追いかけたセバスチャン・アルトワ氏も、自分の興したビール醸造所がここまで大きくなるとは予想していなかったことでしょう。
ですが、ABインベブ社のCEOに彼の子孫がいないことが残念です。
それでも、ブランドとして確立されているので今後の更なる飛躍を見守りたいですね。
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