地球上とは思えない！人生を変える絶景「ザ・ウェイブ」

初めてその写真を目にした誰もが、「本当に、地球上にこんなところがあるの!?」と目を丸くする、ザ・ウェイブ。

まさに「ザ・ウェイブ」のその名通り、岩の波、波、そしてまた波。

その美しさは、本当に息を飲むばかりです。

ひとたびそこに立てば、ゆるくうねる岩に囲まれて、平衡感覚が怪しくなるほどです。

眩暈がするような大きな波です。

どこが一番高いところなのか、錯覚すら起こしそうです。

これらの岩の波は、恐竜が生きていた時代の海の砂が砂岩になったものです。
ここはかつて、浅い海の底だった時代があるのです。

約6,500万年前ごろから地面は急激に隆起し、1,500ｍを超える標高になったのち、激しい雨によって起きる鉄砲水によって、気の遠くなるような年月を掛けて地層は少しずつ削り出され、現在の姿になったのです。

今や、世界の絶景ベスト10などでは必ずランクインされるザ・ウェイブですが、自然保護のため、ここを訪れることのできる人数は一日たった20人に限られています。

そのため、ここへ行こうとする人には高倍率な抽選が待っています。まず、4か月前にオンライン抽選で最初の10人が決まりますが、ハイシーズンには100倍以上の確率です。

そして前日の朝に行われる現地抽選で、残りの10人が決まるのです。こちらもハイシーズンには倍率は100倍ほどになると言われ、一度で当たる奇跡を起こす人もいれば、1週間挑戦しても当選できないまま去る人までいるそうです。

加えて前日抽選では、例えば当選できるのは残り2名となった時点で3名で申し込んでいるグループに当たった場合、3人目の入山は決して融通してくれません。一人置いてでも行くのか辞退するのかの選択を迫られますので、かなりハイリスクな抽選となります。

申し込みの際に、一名につき$5を支払い、晴れて当選した人はさらに$7を支払うことになります。希望日は、第三希望まで選択することができます。

現地抽選は、ユタ州のカナブという街にある、BLM(ビューロー・オブ・ランドマネージメント)のビジターセンターにて、入山希望日前日の9時から抽選は始まります。

時間に僅かでも遅れると抽選に参加させてもらえないそうですのでご注意ください。ハイシーズンの抽選は毎日ですが、オフシーズンの抽選日は月~金曜までとなります。

ザ・ウェイブから南東へ数分行ったところには、セカンドウェイブと呼ばれる岩の波がもう一つあります。規模は大きくありませんが、浅くピンクを帯びたその岩の色と、ドレスの裾のような波打ち方は、気品のある美しさです。

応募の前に、心しておかねばならないことがあります。

１．往復9.6㎞、所要時間は4~6時間と、足に自信がある人ならトレイルの長さ自体は問題のないレベルですが、人里から遠く離れた非常に辺鄙な土地の、辺境のトレイルです。中盤からは道なき道を地図を確認しながら進むことになり、携帯電話もほぼ圏外になるので、GPS持参で入山する人も多いです。広大な場所に一日20人しか入山しないので、道を尋ねたり救助をお願いしたりできる人などにまず出会えない状況が続きます。

２．最寄りのホテルのあるページやカナブの街から30分ほどハイウェイを走行し、その後ダートロードを40分ほど走ります。雨後はダートロードに川ができ、雪の日はぬかるむため、タイヤが取られて身動きできなくなる場合もありますので、4WD推奨です。トレイルでの所要時間以外に、これらの所要時間を十分に踏まえた計画が必要です。

３．当選者は許可証と共に、写真のような、「暑さは（人を）殺す！！！」と書かれた警告ももらいます。夏場の日中は40℃に達することもあるドライヒート(乾燥した猛暑)になっています。実際にトレッキング中に熱中症や脱水症状で亡くなった方は少なくありません。夏場は朝のうちに距離を稼げるよう、早めの行動をお勧めします。

５．上の写真のように、トレイルに木陰はなく、水場も一切なく、灼熱の太陽に晒され続けます。熱中症や脱水症状を避けるために、十分な水が必要です。BLMでは一人1ガロン(約4リットル)持つように推奨しています。

６．当選後に地図と写真入りの案内がもらえますが、同じような岩の連なりが地平線の向こうまで続いていて、岩の上には足跡もありませんので迷いやすいです。道標も細く目立ちにくく、数も僅かで見逃しやすいです。時折振り返って、戻る時の目印などを確認しておくことをお勧めします。

抽選には以上を踏まえた上で挑戦してみてください。