デンマークのカールスバーグ醸造所見学ツアーに大潜入!出来立てビールの試飲もエンジョイ♪

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ビール三大発明の一つである酵母純粋培養法!その方法を成功させたのは、カールスバーグ研究所に勤めていたエミール・クリスチャン・ハンセン氏。ハンセン氏が選んだ「カールスバーグ下面酵母1番」を使用したカールスバーグビールは大成功をおさめ、後にデンマーク王室御用達までになります。その醸造所の見学ツアーに参加しておいしいビールを飲みましょう。

デンマーク

デンマークはユトランド半島、シエラン島、フユン島を中心に、500の島で成り立っていて、自治権を持つグリーンランドとフェロー諸島もデンマーク領になります。

発音が難しいといわれている、デンマーク語が公用語です。

再生可能エネルギーを推進する国としても知られているデンマークですが、風力発電を初めて設置したのは1891年。
P.ラクール氏が2~3枚の羽を使って、風の押し上げる力を利用した(揚力)風力発電装置を発明したのです。

1985年に公共エネルギー計画を発表し、原子力に頼らない選択をしています。2025年までには風力発電をさらに進めていくようです。

デンマークの飲酒

デンマークでの飲酒ができる年齢は16歳から。大学内にバーがあって、金曜日の夜には仲間とともにお酒を楽しむ学生が大勢います。
大学にバー?なんて、眉をひそめることなかれ。大学内のバーであれば、変な酔っ払いなど怪しい人がいる心配がないので、かえって安全なのですよ。

また、デンマークではビールの値段が安いことでも有名で、隣国からビールだけを買いにくる人も多いそうです。

カールスバーグ醸造所

創業者の父

カールスバーグ醸造所を創業したJ.C.ヤコブセン。その父もまたデンマーク醸造業界の第一人者でした。
父の名は、クリステン・ヤコブセン。ユトランド半島の出身で、兵役のため1800年にコペンハーゲンにやってきました。
しかし兵役にはつかず、王様のブリューハウスの醸造手として働き始めます。
醸造業界で有名になっていた彼は、1823年にブリューハウスの株式を取得し、1826年には取締役会に選出されたので、ヤコブセン醸造所を設立しました。
そのときに、醸造免許と貿易免許も付与されたのです。

デンマーク初の温度計使用

クリステン・ヤコブセン氏は、科学に興味がありました。
それで、電磁気学の基礎を築いたデンマークの物理学者、ハンス・クリスティアン・エルステッド氏が設立した、Den Polytekniske Læreanstalt(現在はデンマーク工科大学)学校のポピュラーサイエンス講座の受講生になったのです。
そうして科学をかじったクリステン氏は、醸造生産において温度計を使用し始めます。1758年にイギリスで温度計の利用がされていますが、デンマークでは初でした。

父の後を継ぐ

ビール醸造において科学の力を応用したクリステン・ヤコブセン氏でしたが、健康を害し、1835年に亡くなります。
その後を継いだのがJ.C.ヤコブセン、24歳の時です。そして、転機は次の年に訪れました。
ワイン商人の貯蔵庫で、ドイツのババリア地方のラガービールを味わったのです。スキッとしたのどごしのよい味わいに感銘を受けたジャコブ氏は、ハンブルグのビール工場へ視察に行きます。
彼自身も醸造所内の地下室で、ラガービールの試作を繰り返します。このビールがこれから人気になるだろう、大量に生産すれば収益が見込めるだろうと確信したのです。

ラガー酵母を手に入れる

カールスバーグ創業前の1845年。
ジャコブ氏は、ビール醸造に必要な酵母を手に入れるために、ドイツのミュンヘンまでやってきました。
シュパーテン醸造所のカブリエル・セードルマイヤーから下面発酵酵母を譲り受け、煙突で作った容器に酵母を入れて、ミュンヘンからコペンハーゲンまで帰宅の途につきました。
この時代の交通手段といったら馬車でしたから、駅馬車が止まるたびに、酵母に冷水をかけて、なんとか持ち帰ったのです。

そして、この酵母を使ってカールスバーグビールを醸造し始めます。

カールスバーグ醸造所の創業

そしてラガービールを造るために、1847年に創業されたビール醸造所。当時5歳であった息子の名前をとって、カールスバーグ(カールの山)と名づけました。
科学を信じ、ビール醸造も科学的に研究することが必要だと思っていたジャコブ氏は、1875年にカールスバーグ研究所を開設します。彼が64歳の時です。
利益のためにビールを造るのではなく、ビールの品質を高めて、おいしいビールを醸造することを目指していました。

父と息子の対立

カールスバーグ醸造所を創設した頃には、5歳だった息子も成長して立派になりました。
息子のカールは、フランスやドイツ、オーストリア、イギリスのエールビールを学び、スコットランドでは4年もの月日を過ごして、彼は彼なりのビールや経営に対する考えをきちんと持っていました。

しかし、その考えは父親には理解してもらえずに結局離反してしまい、「ニュー・カールスバーグ」を設立して、新たなビールを醸造し始めます。
そして巷では、父親の「オールド・カールスバーグ」と息子の「ニュー・カールスバーグ」のビールが店頭に並ぶことになるのです。

二人の会社がひとつになるのはもっと先のことですが、親子の和解は父親が亡くなる直前にしています。1887年、J.C.ヤコブセンが76歳のときでした。

酵母純粋培養法、発見!

1883年、カールスバーグ研究所入社5年目のエミール・クリスチャン・ハンセン氏が、「酵母の純粋培養法」を発表しました。
ビールの発酵槽の中で活動している酵母を調べていくと、ビール酵母と野生酵母がそれぞれ活動していることが分かりました。
その中で、ビールの醸造に適している酵母があることを発見したのです。

この適した酵母だけを取り出すことができれば、腐敗することなく、おいしいビールが造れるぞ!

そう確信した彼は研究を続け、野生酵母細胞からビール醸造に適した、優秀な酵母だけを取り出す技術を開発したのです。
その年の11月には生産が拡大、大成功をおさめ、「カールスバーグ下面酵母1番」が新しく使用されたのです。
普通ならばこんな大発見、自社で特許をとって保有するのが当然だと考えますが、ジャコブ氏は、詳細な方法を発表した上に、酵母のサンプルを世界中の醸造所に送りました。
それから若い醸造家がカールスバーグに勉強にくるようになり、世界中のビール醸造所の技術が上がったのです。

王室御用達になる

1904年にはデンマーク王室御用達になり、王冠マークの使用が認められました。
同年、カールスバーグピルスナーのビールが初めて醸造、発売されたので、新しいビールのラベルデザインをデンマークの建築家 であった、Thorvald Bindesbøll氏に依頼。

1906年には、このラベルを少し修正して、カールスバーグのシンボルとしました。父と息子の対立から、「オールド」と「ニュー」のカールスバーグが、統合された証でもあります。

その後も躍進していく

芸術を愛し、一生を通して芸術と関わってきたカール・ヤコブセン氏は、1914年に亡くなりました。
ブルワーズ協会の初代会長であり、労働者のために年金基金を制定し、労働時間も減らすなど、自社だけでなく、世の中にもつくした人物でした。

カール氏は自分の醸造所を寄付してしまったので、亡き後は二人の息子が新カールスバーグGlyptotekの取締役会長、カールスバーグビール醸造所理事会のディレクターとして、活躍していきます。

カールスバーグビジターセンター

入場すると、ビールの試飲チケット、工場内の地図が渡されて自由に見学することができ、グループだと別料金になりますが、ガイド付きツアーも行ってくれます。
大きな敷地内にはビール工場だけでなく、ボトルコレクションの部屋やバー、アロマルーム、馬屋などもあり、それらを自由に見て回れます。

もちろんカールスバーグの歴史もパネルで紹介されています。

予約は不要なので、定休日以外だったら見学できますが、冬はセンター内が寒いので、さむ~い冬に冷たいビールはちょっと...という方は夏に行くことをオススメしますよ。

カールスバーグビジターセンター(Visit Carlsberg )
住所:
Gamle Carlsberg Vej 11, 1799 København V, Denmark
営業時間:
10:00~20:00
アクセス:
コペンハーゲンから車で12分
定休日:
12月24日、12月25日、12月26日、12月31日、1月1日、5月1日~10月1日は月曜休館
電話番号:
+45 33 27 10 20
料金:
18歳以上大人税込2ビール/水:95KR、ID持参の学生税込2ビール/水:70KR、6歳~17歳税込2水:70KR、0歳~5歳無料

まとめ

ビール三大発明の一つである、酵母純粋培養。

カールスバーグ社が独り占めしていたら、今のビールはなかったでしょう。

世の中、いろいろな要素が絡み合ってできていると思うと、感慨深いですね。ラガービールを世界に広めたといっても過言ではない、カールスバーグビールを工場で堪能しましょう。

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