「荒野のバラ」サラマンカ!世界でも最古の大学町を散策してみよう

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ヨーロッパ有数の大学町サラマンカ。学生たちの声が響く活気に満ちた町でありながら、歴史的な建造物も数多く残っています。オススメはもちろん、世界遺産にも登録されている旧市街です。美しい町並みの中、留学生にでもなった気分で、ぶらぶらと散策してみてはどうでしょうか。

古代ローマ時代から栄える「金色に輝く町」

大都会のような賑やかさはないものの、それでいて心が惹かれる場所というものはあるもので、スペイン最古の大学町サラマンカも、そのひとつではないでしょうか。

首都マドリッドから北西に約200km。荒涼としたカスティーリャの大地の中、トルメス川のほとりにあるこの町のことをthe rose of the desert(荒野のバラ)と呼んだのは、イギリスの旅行作家、故エドワード・ハットンでした。

サラマンカは紀元前の昔、あのカルタゴの英雄ハンニバルが征服した町でもありますが(前217年)、交易の中心地として本格的な繁栄の時代を迎えるのはレコンキスタ後、とくに1218年にサラマンカ大学が設立されて以降のことです。

またそれとは別に、サラマンカは「金色の町」(La Ciudad Dorada) とも呼ばれています。これは建材として使われている黄褐色の砂岩が、光に輝く様子を表現したものです。

サラマンカ (Salamanca)
アクセス:
 マドリッドから鉄道で約2時間45分
 高速バスだと約2時間半

散策はスペインで最も美しい「マヨール広場」から!

散策を始めるにあたってまず目指すのは旧市街の中心、マヨール広場です。スペインで一番美しい広場と言われていますが、日本のどこか殺風景な広場とは違い、4階建ての建物に囲まれているところが面白いです。

建設が始まったのはスペイン継承戦争の後、1729年のこと。ブルボン家のフェリペ5世を応援したことへの感謝として、王からこの町に贈られたものです。

学生の町だけに、夜もなにかと賑やかなのがマヨール広場です。それもそのはず、建物の1階部分はアーケードになっていて、そこには多くの店が並んでいます。

出典:youtube

マヨール広場でのトゥナの演奏

サラマンカが発祥とも言われているのが、スペインの伝統音楽のひとつ学生の楽団「トゥナ」の演奏です。衣装はちょうちん袖の上着に黒のタイツ。伴奏にはギターやマンドリンが使われます。

運が良ければマヨール広場でも聴けますが、もちろんトゥナとはいえ、「元」学生の方も活躍されているようです。

マヨール広場 (Plaza Mayor)
アクセス:
旧市街のほぼ中央
 サラマンカ駅から約1.5km

昔の騎士は貝がお気に入り?

マヨール広場から、サラマンカ大学のほうに歩いていく途中にあるのが、この一風変わった建物です。「貝の家」と呼ばれていますが、その言葉のとおり、帆立貝の形をした装飾で壁のほとんどが覆われています。

建てられたのは1438年。現在は公共の図書館として利用されていますが、元をただせば、サンティアーゴ騎士団に属する人物の館でした。

サンティアーゴ騎士団といえば、巡礼者を守るのが任務だったわけですが、そのサンティアーゴ巡礼の象徴が実は帆立貝だったのです。

貝の家 (casa de las conchas)
住所:
Calle Compañía, 2, 37002 Salamanca
アクセス:
マヨール広場から約250m
開館時間:
 月~金 9:
00~21:00
 土 9:
00~14:00、16:00~19:00
定休日:
日曜 
電話番号:
923-269317
料金:
無料

スペイン最古の「サラマンカ大学」でカエルを探す!

ボローニャ大学、パリ大学、オックスフォード大学と共に、ヨーロッパでも最古の部類に属する大学として、今なお多くの留学生を集めているのがサラマンカ大学です。あのコロンブスも、ここで天文学を学んでいました。

正面入口は1534年に造られたものですが、細かな浮き彫りが壁一面に施されており、プラテレスコ様式の傑作と言われています。

ちなみに、プラテレスコという言葉。もともとはプラテリーア(銀細工)からできた言葉です。つまりは、まるで銀細工のような細かな彫刻を多用したことから、そう呼ばれたわけですね。

もしあなたが資格試験でも目指しているのであれば、ぜひとも探して欲しいのがこのカエルです。ファサードの彫刻の中、このカエルを見つけた人は学業を達成できるという言い伝えがあるからです。

みやげ物屋にはカエルの置物もあったりしますから、受験生へのおみやげには喜ばれるかもしれませんね。

図書室や16世紀当時の講義室など、歴史的に由緒のある部分を見学することも可能です。ちなみに図書室には羊皮紙の手写本をはじめ、グーテンベルグが活版印刷術を発明する前の貴重な文献も数多く保管されています。

サラマンカ大学 (Universidad de Salamanca)
住所:
37008 Salamanca
アクセス:
マヨール広場から約400m
開館時間:
 7/1~9/15
  月~土 10:
00~14:00、16:00~20:30
  日・祝 10:
00~14:00
 9/16~6/30
  月~土 10:
00~19:00
  日・祝 10:
00~14:00
電話番号:
923-294400
料金:
10ユーロ、学割5ユーロ

荘厳な「カテドラル」に宇宙飛行士を発見!

サラマンカ大学のすぐそばにあるのが、新旧のカテドラルです。旧カテドラルが12世紀のロマネスク様式の建築なのに対して、新カテドラルは16~18世紀に建築されたもので、ゴシック様式が基調となっています。

見どころとしては、旧カテドラルにあるニコラス・フロレンティーノ作の祭壇画とフレスコ画、さらにはスペインで最も美しい塔の一つに数えられている、同じく旧カテドラルの円錐形のドーム(雄鶏の塔)などが挙げられます。

新カテドラルに施された彫刻です。コレ、いったい何に見えますか? どう見ても宇宙飛行士にしか見えませんね。

ガーゴイルの彫刻は別に珍しくはありませんが、問題は手に持っているモノです。アイスクリームのコーンのようにも見えますが、どうでしょうか? でも、宇宙飛行士にしろアイスクリームにしろ、どうしてそんなものが18世紀の建物にあるのでしょう。

答えは簡単。1992年の修復工事の際、付け加えられたものだからです。修復家によるひとつのサインとして、こういうことはよく行われるそうです(宇宙飛行士は20世紀を、アイスクリームを持ったガーゴイルは学生を象徴しています)。

カメラが趣味の方には旧市街の南、トルメス川から見た町の遠景がおすすめです。上の写真はローマ橋の上からのものですが、橋を渡った対岸から川や岸辺の様子を捉えながら町を撮影するのも悪くありません。

新旧のカテドラル (Catedral nueva, Catedral vieja)
住所:
Calle Cardenal Pla y Deniel 37008 Salamanca
アクセス:
マヨール広場から約400m
開館時間:
 新カテドラル
  4~9月 9:
00~20:00
  10~3月 9:
00~17:30
 旧カテドラル
  4~9月 10:
00~19:30
  10~3月 10:
00~17:30 
電話番号:
923-217476
料金:
4.75ユーロ(新旧カテドラル共通)

最後はバールで乾杯!

サラマンカの旧市街をひと通り回って、すぐにサヨナラではちょっと寂しすぎます。できることなら、マヨール広場あたりにホテルを取って、夜のサラマンカも散策してみてはどうでしょうか。

観光スポットもライトアップされて昼間とは違った姿を楽しめますし、バールをはしごしつつ、学生や地元の人たちに混じりながらサラマンカならではの美味しいタパスで一杯やるのも最高ですね。マドリッドなどとはまた違ったスペインが、そこにはきっとあるはずです。

Caroll

昔からのクラシック音楽ファンということもあって、やっぱりヨーロッパが好きですね。あと歴史も好きなので、「旅と歴史」という視点から、いろいろと書いていければと思っています。どうぞ、よろしく!

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