フランス・ブールジュ大聖堂、ステンドグラス&彫刻が美しすぎる世界遺産

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フランス中部の文化都市ブールジュにあるのが、フランスゴシック建築の傑作「ブールジュ大聖堂」です。1992年には世界遺産にも登録。バルザックやスタンダールといった文豪たちにも絶賛されたことで知られています。ブールジュ大聖堂とは、一体どんな教会なのでしょうか。

1. ブールジュの町へ

パリから南へ約200km。鉄道を使えば2時間弱で行けるのが、フランス中部の文化都市ブールジュです。地図で言えば、まさにフランスの真ん中あたり。有名な観光地としては、トゥールやオルレアンが比較的近いとあって、ロワール観光の一環として訪れる人が多いようです。

旧市街の入口からブールジュ大聖堂までは800mほど。その間には博物館などの観光スポットも結構ありますから、まずはのんびりと散策してみてはどうでしょうか。

ブールジュは古代ローマの時代から栄えてきた町です。すでに3世紀には、ブールジュ大聖堂の前身ともいえる教会が建てられおり、司教座も置かれていました。

町を歩いてみると、石の町かと思いきや、木骨造りの建物も見られます。旧市街にはそんな家屋が、今でも400軒以上残っているそうです。

2. サンテティエンヌ大聖堂

正面入口の外観

世界遺産には「ブールジュ大聖堂」の名称で登録されていますが、正式には「ブールジュのサンテティエンヌ大聖堂」(Cathédrale Saint-Etienne de Bourges)と言います。つまりは、聖エティエンヌ(Saint-Etienne)に捧げられた教会ということですね。

奥行き124mの巨大な教会ですが、幅も41mありますから、正面入口をまさに真正面から撮影するのは、広角レンズを使っても困難です(前に広場もありません)。

入口が5つありますが、真ん中の入口が中央部分(身廊)の扉。左右にあるそれぞれ2つの入口は、側廊へとつながる扉です(側廊が左右に2本ずつあるわけです)。

タンパンに注目!

入口の扉の上に半円形をしたレリーフがありますが、これを「タンパン」と言います。もちろん、入口ごとに違った彫刻が彫られており、中でも有名なのが中央の入口にある『最後の審判』です。13世紀ゴシック彫刻の傑作とされています。

広々とした内部空間

サンテティエンヌ大聖堂(ブールジュ大聖堂)の建築は、それまであったロマネスク様式の教会に改修を加えるという形で、12世紀の終わり頃から13世紀にかけて行われました。

設計面での特徴としては、祭壇のある内陣部分と一般の人たちが座る身廊部分の間に、通路(「翼廊」と言います)が置かれていないことが挙げられます。その分、37mにも及ぶ天井の高さと相まって、広々とした印象を与える堂内となりました。

以前のロマネスク様式との最大の違いは、重い石の天井を柱で支えられるようになったことです。ロマネスク様式では、まだ壁でしか支えられなかったため、必然的に小さな窓しか設けられず、聖堂内は良く言えば瞑想的。客観的に言えば、薄暗い状態でした。

その点、ゴシック様式のサンテティエンヌ大聖堂では、壁の重要性が減ったことで、窓は広く高くなり、聖堂内はグッと明るくなりました。

魅惑的なステンドグラスの数々

広くなった窓には、色鮮やかなステンドグラスの数々がはめ込まれています。実際、サンテティエンヌ大聖堂はフランスで最も多く、中世のステンドグラスが残る教会として知られています。

文豪スタンダールは、「この大聖堂の中に立つと、キリストになったような不思議な気持ちになる」と語ったそうですが、それほどまでに「神の家」にふさわしい雰囲気が、サンテティエンヌ大聖堂にはあるということなのでしょう。

建築技術面での特徴

上に、「ゴシック様式は天井の重みを柱で支えられる」と書きましたが、天井からかかる力は、壁を横へと押し倒す方向にも働いていますので、現実的なことを言えば、ただ柱だけに任せておくと壁が倒れてしまいます。

そこで取り付けられているのが、「フライング・バットレス flying buttress」(飛び梁)です。上の画像。横から壁を支えるように、アーチ状のものが延びていますが、それがフライング・バットレスです。

建築後の災難?

13世紀には完成した大聖堂でしたが、実は14世紀の初めには、南塔が傾くという事態が発生していますし、1506年にはなんと北塔が崩壊しています。また、1562年に始まった宗教戦争(ユグノー戦争)の際には、プロテスタント側に内陣とファサードの部分を破壊されてもいます。

もちろん、そのたびごとに改修や再建が行われてきましたが、必ずしも「建設当時のゴシック様式で」というわけではありませんから、その分、各時代の建築様式が混じり合った建物となりました。

全体的な統一感がないと言ってしまえばそれまでですが……。ただ、そこがむしろ興味深いところ、この大聖堂の魅力の一つと言えないこともありません。

ブールジュ大聖堂 (Cathédrale de Bourges)
住所:
Place Etienne Dolet, 18000 Bourges
アクセス:
ブールジュ駅から旧市街まで約1km。
 旧市街の入口にあるバス停からは800mほど。
開館時間:
 4月 9:
45~11:45、14:00~17:30
 5-6月 9:
30~11:30、14:00~18:00
 7-8月 9:
30~12:30、14:00~18:00
 9月 9:
45~11:45、14:00~17:30
 10-3月 9:
30~11:30、14:00~16:45
定休日:
日曜の午前
 1/1、5/1、11/1、11/11、12/25
電話番号:
02.48.65.49.44
料金:
無料
 地下礼拝堂のガイドツアーは7.50ユーロ
 (塔の見学を含む)

3. 「ブールジュ、光の宵」

ブールジュでは夏の期間、主な観光スポットをライトアップしたり、その施設に関連した映像を映すといったイベント(ブールジュ、光の宵)を実施しています。

教会見学にオススメの時期などあろうはずもありませんが、ブールジュの町をのんびりと観光したいということであれば、その時期に合わせて訪ねてみてはどうでしょうか。

ブールジュ、光の宵
実施時期:
5~9月
実施曜日:
 5月、6月、9月は木・金・土のみ。
 7月、8月は毎日実施

ブールジュ大聖堂は、ランスやシャルトル、あるいはパリのノートルダムといった有名な大聖堂と比較しても、同等の評価を獲得している教会です。

パリからも2時間弱ということで日帰りでの観光も可能ですので、世界遺産や中世の造形芸術に興味がある方には、ぜひ一度見学してもらえればと思います。

Caroll

昔からのクラシック音楽ファンということもあって、やっぱりヨーロッパが好きですね。あと歴史も好きなので、「旅と歴史」という視点から、いろいろと書いていければと思っています。どうぞ、よろしく!

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