フランス世界遺産ストラスブール・グランディルを楽しむ5つの方法!独仏文化融合の歴史的交差点へ

9,747

views

0

大きな歴史の波に翻弄され、フランスとドイツの間を行き来した町ストラスブール。中でも旧市街(グランディル)には両国の文化が融合したストラスブールならでは風情があって、多くの旅行者が訪れる場所となっています。今回はそんな旧市街の楽しみ方をいくつか紹介したいと思います。

はじめに:ストラスブールのグランディルとは?

パリからTGVに乗って、真っ直ぐ東に行くこと2時間20分ほど。ドイツとの国境でもあるライン川のほとりにあるのが、人口約28万人の町ストラスブールです。ライン川沿いにあるケルンやマインツといったドイツの都市と同様、ローマ帝国の城砦都市が町の起源と考えられています。

今では欧州議会などの重要な国際機関も設置され、近代的な都市として発展していますが、その一方では歴史都市としての一面も持っており、特に旧市街には、伝統的な古い町並みが今なおしっかりと残されています。

1988年に世界遺産に登録されたストラスブールのグランディル(Grande-île)というのは、つまりは旧市街のことを言います。

Grandeは「大きい」、îleは「島」ですから、まとめると「大きな島」という意味になりますが、実際その言葉のとおり、ライン川へと流れ込むイル川の、大きな中州の上に作られたのがストラスブールの旧市街だったのです。

1.必見スポットを見に行こう!

ストラスブール大聖堂

ストラスブールの象徴とも言えるのが大聖堂です。ノートルダム大聖堂とも言われますが、正式名はCathédrale Notre-Dame-de-Strasbourg。「ストラスブールにあるノートルダム大聖堂」です。

ちなみに、ノートルダムは聖母マリアのことですから、ノートルダム大聖堂という名前の教会は、パリのシテ島をはじめ、至る所に存在します。

色合いに特徴がありますが、それは赤色砂岩を使っているからです。11世紀のロマネスク様式の建物を、13世紀にゴシック様式で改築した教会ですので、両方の特徴が見出せます。

見どころは多々ありますが、中でも有名なものとしては、からくり人形付きの大きな天文時計や、そのそばの柱に描かれた『最後の審判』が挙げられます。

尖塔の高さは144mあり、これは中世の建築物の中ではナンバーワン。今でも教会だけで言えば、世界第6位とのことです。また、もしストラスブールの町を一望したいのであれば、66mの高さにある展望台がオススメです。ただし、332段の階段がちょっと大変かもしれません。

ストラスブール大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame-de-Strasbourg)
住所:
Place de la Cathédrale, 67000 Strasbourg
アクセス:
ストラスブール駅からは2km弱といったところ。駅から旧市街へは、トラムを使うのが便利です。
開館時間:
7:00~11:20、12:40~19:00
 展望台は以下のとおり
  4-9月 9:
30~19:30
  10-3月 10:
00~17:30
定休日:
1/1、5/1、12/25
電話番号:
03.88.21.43.34
料金:
5ユーロ、学生2.50ユーロ
 第1日曜は無料
 (天文時計は別料金)

プティット・フランス

散策はもちろん、撮影ポイントとしても人気なのが、運河沿いに古い町並みが残る「プティット・フランス」です。旧市街の南西部分。イル川が分岐するクヴェール橋のある辺りです。

絵に描いたような美しさとは、まさにこのこと。そんな風景が残っているのがプティット・フランスです。特に、ハーフティンバーと呼ばれる様式で建てられた16~17世紀の木組みの家が、何とも可愛い感じです。

プティット・フランス (Petite France)
住所:
67000 Strasbourg
アクセス:
旧市街の南西部分
 (イル川が二つに分かれるクヴェール橋の辺り)
 ストラスブール駅からは1.5kmほど
 大聖堂からだと、徒歩約15分の距離

2.歴史と文化を知りたいなら

ロアン宮

ストラスブールの最大の特徴は、フランスとドイツの文化が融合した町であること。両国の国境線に近い町とあって、ドイツのものになったり、フランスに戻ってきたりと、何回となく所属する国が変わっているからです。

そんなストラスブールの歴史と文化に興味がある方には、やはり美術館・博物館めぐりが最適ではないでしょうか。中でもオススメなのが、ストラスブール大聖堂の隣にあるロアン宮です。

もとは司教の宮殿だった建物ですが、現在では「装飾博物館」「ストラスブール美術館」「考古学博物館」という3つの施設が入っています。

ロアン宮内の美術館・博物館
住所:
2 Place du Château, 67000 Strasbourg
営業時間:
10:00~18:00
アクセス:
ストラスブール大聖堂の隣
定休日:
火曜
 1/1、聖金曜日、5/1、11/1、11/11、12/25
電話番号:
03.68.98.51.60
料金:
各6.50ユーロ(3館で12ユーロ)

アルザス博物館

ストラスブールのあるアルザス地方の生活とは、一体どんなものだったのか。それを教えてくれるのが、アルザス風民家の中にある、この民俗博物館です。

大きな施設ではありませんが、日常の生活用品や伝統的な衣装などが展示されていて、結構楽しめると思います。

アルザス博物館 (Musée Alsacien)
住所:
23-25 Quai Saint-Nicolas, 67000 Strasbourg
営業時間:
10:00~18:00
アクセス:
定休日:
火曜
 1/1、聖金曜日、5/1、11/1、11/11、12/25
電話番号:
03.68.98.51.60
料金:
6.50ユーロ
 26歳未満の学生と60歳以上は3.50ユーロ

3.名物料理を味わおう!

シュークルート

胃袋を満たしつつ、食文化も理解したいなら、昔から親しまれている名物料理を食べるのが一番。ということで、まずオススメなのがシュークルート(La choucroute) です。

上の写真。ソーセージなどでキャベツが隠れてしまっていますが、実は塩漬け発酵したキャベツを、豚肉か魚と一緒に白ワインで煮た料理です。

タルト・フランベ

出典: tabelog.com

タルト・フランベ(La tarte flambée)とは見てのとおり、アルザス風の極薄ピザです。ソテーしたベーコンやタマネギ、クリームチーズなどがのっかっています。ピザと同様、何人かで取り分けて食べるのが通常です。

4.気晴らしに水上観光はいかが?

旧市街はイル川の中洲に発展した町だけに、歩いて回っても距離的にはしれていますが、主だった観光スポットを川面から眺めてみるというのも、それはそれで結構楽しいのではないでしょうか。

もちろんイル川の遊覧船ですから、旧市街の外にある欧州議会なども見て回れます。

遊覧船(バトラマ)の乗り場があるのはロアン宮のすぐ近くですから、大聖堂の見学が終わったら、気軽に乗ってみてはどうでしょうか。

所要時間は1時間10分ほど。時期によっては夜間クルーズも可能ですし、日本語のイヤフォンガイドもあるようです。

イル川の遊覧船「バトラマ」 (Batorama)
アクセス:
ロアン宮前の乗り場から出発
運行頻度:
1日24~38便
 ただし、11-3月は便数が減少
 5-9月は夜間クルーズもあり
電話番号:
03.88.84.13.13
料金:
12.50ユーロ
 ただし、4-12歳は7.20ユーロ

5.おすすめはクリスマス!

寒い季節は苦手という方も多いとは思いますが、でもやっぱりオススメしたいのが、12月のストラスブールです。実際12月に入ると、フランスでも最古のクリスマス市が開かれるとあって、毎年この季節には150万人もの人が訪れます。

賑やかなのはクリスマス市だけではありません。どの店も飾り付けに余念がありませんから、町全体が華やいで、クリスマス一色という感じになってしまいます。

しかも、市内の各所がライトアップされたり、大聖堂の前には野外のスケートリンクが設置されたりと、さまざまな趣向が用意されていますし、教会ではコンサートなども開かれます。

この季節、ストラスブールの町を歩いていると、シナモンの香りがどこからとなく漂ってくることがありますが、これなども、アルザス地方のクリスマスには欠かせないパン・デピス(Le Pain d’épices)という、スパイスを効かせた焼き菓子を作っているからです。

最後に:ドイツは目と鼻の先

ストラスブールは俺のものだ、いやウチの国のものだと争っていたのは、もう遠い過去のこと(と言っても、まだ70年ほどしか経ちませんが……)。ストラスブールの町からちょっと車を走らせれば、今やライン川には橋まで架かっていますし、そこを渡ればドイツです。

その意味で、フランス旅行の一環としてではなく、ドイツ旅行とのセットでストラスブール観光を考えてみるのも悪くはありません。今回の記事を参考にしつつ、どうかストラスブールの観光を楽しんでもらえればと思います。

Caroll

昔からのクラシック音楽ファンということもあって、やっぱりヨーロッパが好きですね。あと歴史も好きなので、「旅と歴史」という視点から、いろいろと書いていければと思っています。どうぞ、よろしく!

この記事を読んだあなたにオススメの記事
  • フランス在住者が教える!南仏ニースでのビーチの特徴とビー...

    ニース空港へ着いたら、大抵の方はタクシーやバスでニース市内へと向かわれるかと思います。その時に目に飛び込んでくるニースの海の青さには、誰もがきっと感動してしまうはずです。そんなニースのビーチを100%楽しむ、とっておきの情報をお伝えします。

  • パリジェンヌも憧れる!フランス高級シューズブランド5選

    パリと言えば世界のファッショントレンドを作り出す街として有名です。エッフェル塔や建造物はもちろん、道行く人々のファッション等、街全体がオシャレで、品のある雰囲気に包まれています。CHANELやHERMES、Dior等の高級ブランドの本店が軒を連ねていて、女子なら誰でも一度はパリに行ってお買い物をしてみたいと思うのではないでしょうか。今回はそんな女子のあこがれパリ発祥のシューズブランド5選をご紹介します。

  • フランス料理で絶対おさえておきたい定番料理10選!

    みなさんは本場のフランス料理と言ってもピンと来るものありますか? 見たことはあるけど、名前がわからないと言う食べ物もあると思います。なので、今回はフランスに来たら是非試してほしい定番料理を紹介します♪

  • モンサンミッシェルに行ったら絶対買い!日本入手困難品も!...

    モンサンミッシェルで購入可能な誰もが喜ぶお土産を15商品ご紹介します。日本未入荷のフランス生まれのブランド品物やモンサンミッシェル発祥スイーツなど、自分用のお土産から相手に喜ばれるお土産探しまで、この記事を読めばモンサンミッシェルのお土産選びが楽になります。

  • フランス・コルマールの観光名所まとめ!美女と野獣の舞台と...

    戦火を逃れ今も昔のままの姿を残すフランス東部の町コルマール。アルザス地方特有のコロンバージュ様式の建物は、まるでおとぎの国へ来たのかと錯覚するほどの美しい町並み。美女と野獣の舞台に選ばれたのも納得。そんなディズニーの目に留まることとなったコルマールを紹介します。

  • フランスの有名なチョコレート20選!ご褒美・お土産におすす...

    フランスのチョコレートについて案内します。ベルギー同様にフランスのチョコレートも至高のものが多く、専門のチョコレート職人(ショコラティエ)の味が堪能できます。日本も手に入るフランスの有名チョコレートを20か所厳選しました。

このエリアの新着記事
  • フランスの有名なチョコレート20選!ご褒美・お土産におすす...

    フランスのチョコレートについて案内します。ベルギー同様にフランスのチョコレートも至高のものが多く、専門のチョコレート職人(ショコラティエ)の味が堪能できます。日本も手に入るフランスの有名チョコレートを20か所厳選しました。

  • ここだけは外せない!フランス・リヨンでまずは押さえておき...

    フランス南東部にあるリヨンはフランス第二の都市。中世の街並みが残る石畳の旧市街や郷土色豊かなブション(リヨンの郷土料理を楽しめるビストロ)も魅力です。美食の街とも呼ばれ、華やかパリとはまた違った魅力を持つ街です。そんなリヨンでまずは押さえておきたい観光スポットをご紹介します!

  • フランスのお洒落なおすすめホテル15選!

    ヨーロッパ旅行でも人気なフランス!観光客の数は世界一だそう。美術館、世界遺産、大聖堂もそれぞれ有名な観光名所が多数あります。フランス料理やワインも最高ですね。そんな魅力溢れるフランスの数多くあるホテルの中でちょっと贅沢な高級ホテルを紹介します。

  • フランス・リヨンの人気観光スポットおすすめ7選!歴史地区で...

    フランス第二の都市であり世界遺産に登録された街リヨン。名前は聞いたことがあっても実は何があるかよく知らないという方も多いのでは?かつて絹産業で栄えたリヨンは美しい街並みや心地よい気候のおかげでフランスらしさを満喫できる場所。美食の街でもあり美味しいフランス料理に出会えます。では、さっそくリヨンの見どころをご紹介します。

  • フランス・ニースでおすすめの本場ニース料理レストラン3選!...

    150年前までイタリアの領土だったというフランス・ニース。地理的にもイタリアにほど近く、食文化もイタリアの影響を大きく受けているんだとか。そんな街中で美味しい「ニース料理」が食べられるレストラン3選を紹介します!

  • ヴェルサイユ街でショッピング!お土産も買えるエリア別おす...

    ヴェルサイユと聞くとすぐに思い浮かぶのが宮殿。ですが、その城下町であるヴェルサイユの街もまた華やかに栄えていたんです。王宮文化を思わせる優雅な街並みや、有名メゾンのショッピングを楽しめる街・ヴェルサイユの魅力をご紹介します。

  • フランス・コルマールの観光名所まとめ!美女と野獣の舞台と...

    戦火を逃れ今も昔のままの姿を残すフランス東部の町コルマール。アルザス地方特有のコロンバージュ様式の建物は、まるでおとぎの国へ来たのかと錯覚するほどの美しい町並み。美女と野獣の舞台に選ばれたのも納得。そんなディズニーの目に留まることとなったコルマールを紹介します。

  • フランス在住者が教える!南仏ニースでのビーチの特徴とビー...

    ニース空港へ着いたら、大抵の方はタクシーやバスでニース市内へと向かわれるかと思います。その時に目に飛び込んでくるニースの海の青さには、誰もがきっと感動してしまうはずです。そんなニースのビーチを100%楽しむ、とっておきの情報をお伝えします。

  • フランスの人気お土産ランキングTOP15!外さない人気のフラン...

    フランスのお土産はグルメやファッションと選ぶのにも迷ってしまいます。フランスらしいお洒落なアイテムに、贈られたお友達やご家族も気持ちもワクワクすることでしょう。大切なお友達や自分用にも買いたい、お洒落で持ち運びしやすいフランスのお土産をまとめました!

  • インド洋に浮かぶリゾート地!フランス領のレユニオン島の魅力

    インド洋に浮かぶフランスの海外県・レユニオン島は、サトウキビ・バニラ・コーヒーなどの生産と観光業で栄える小さな島です。フランス人や旅慣れた人だけが訪れていた穴場のリゾート地は、2010年に世界遺産に登録された島の尖峰群の他にも魅力がいっぱい!今回はそんなレユニオン島の見どころをご紹介します!

このエリアの人気記事
今週の人気記事