たまには日常を離れて旅に出たい。そんな風に思った時、まず考えたいのが治安の問題。安全な日本からは、想像も出来ないヤバイ都市が世界にはたくさんあります。今回は10万人当たりの殺人発生率をもとに、アメリカ大陸の行ってはいけない危険都市TOP10をご紹介します。
毎年、メキシコのNPO「Seguridad, Justicia y Paz」が世界各地の人口10万人当たり殺人発生率をもとに、"世界最凶都市ランキング"を発表しています。今回はその数値に基づき、アメリカ大陸の危険都市として上位10都市を挙げていきます。なおこの調査では紛争地域にある都市や人口が30万人に満たない都市は除外されています。
まずは治安が比較的いいとされる日本の数値を見てみます。少し古いですが、統計情報を扱うGLOBAL NOTEによると、殺人発生率は0.28人(2013年)となっており、開示されている218ヵ国/地域の中で211位と極めて下位に位置し、シンガポール(0.31)人やアイスランド(0.30人)と並び、非常に治安のいい国であることが分かります。
筆者も世界一周旅行を終えて改めて感じたのが、日本の治安の良さ。電車の中で居眠りをしたり、夜中に繁華街をウロウロしたり、なんてことはほとんどの国でタブーとされていました。普段の生活では、安全とは空気のようなもので、それがある状況に慣れきってしまいますが、外に出てみると非常にありがたいことなんだと強く感じました。
それでは10位から見ていきましょう!
10位にランクインしているのはベネズエラ東部ボリバル州にあるシウダー・グアヤナ。写真では一見美しく見えるこの都市では、1998年に誕生した反米チャベス政権以来の政治的・経済的混乱の影響もあり、殺人や強盗、強姦などの凶悪犯罪がはびこっています。統計によると殺人発生率は62.33人にのぼっています。
コロンビア南西に位置し、ボゴタ、メデジンに続き3番目に多い人口を持つカリ(サンティアゴ・デ・カリ)が9位にランクイン。カリはバイオ燃料やゴム、農業、そして観光業などで経済的には発展してきており、また「コロンビア・サルサの首都」とも言われています。一方、コロンビアを蝕む麻薬ギャングの抗争により、殺人発生率は64.27人となっています。約240万人という人口を誇るこの都市で、毎年1500人程度が殺人事件の被害に遭っているとか。なお1995年にカリ麻薬カルテルのリーダーであったロドリゲス兄弟が逮捕されてから、治安が悪化したそう。
続いては、カリと同じくコロンビア南西部のバジェ県にあるパルミラ。2014年度の殺人発生率は31.6人であり、前年に比べると40%程度減少し、治安に改善がみられていました。ところが、こちらもカリと同じく、麻薬ギャングの抗争や貧困、腐敗といったことが原因となり、2015年度には再び70.88人にまで上昇しています。
7位には再びベネズエラから、工業及び製造業の中心だったバレンシアが登場。ベネズエラは近年、中南米で最も治安が悪い国の一つとされており、実際筆者は世界一周旅行の中で訪れる予定でしたが、治安悪化のせいで断念せざるを得ませんでした。ベネズエラ第3の都市でもあるバレンシアでは、貧困や政治的腐敗に加え、司法及び警察組織が機能せず、違法な重火器を扱うストリート・ギャングが横行していることなどにより、殺人発生率は72.31人となっています。
このところ少しづつ治安に改善がみられているものの、依然として世界最悪レベルにあるのがホンジュラスの首都テグシガルパを含むディストリト・セントラル。ホンジュラス経済の中心でもありながら、ドラッグ密輸の経由地として麻薬マフィアやギャングが牛耳っています。加えて失業者達も溢れていることから、誘拐、強盗、殺人やレイプが日常茶飯事だとか。なお殺人発生率は73.51人となっており、2013年の102人、2014年の78人に比べると改善していることが窺えます。
第5位もベネズエラから。東部に位置するモナガス州州都であるマトゥリンは、もともとは農業や畜産業で栄えていました。その後、オリノコ川流域で油田が発掘されたことから経済発展を遂げます。ところがチャベス政権の発足に伴い経済が混乱し、現在では麻薬と結びついたストリート・ギャングや組織的犯罪グループによる犯罪が横行しています。2015年度の殺人発生率は86.45人と6位を大きく引き離し、堂々(?)の5位となっています。
中南米でも有数のリゾート地であり、一方で毎年のように危険な都市ランキングで上位に登場するアカプルコが4位にランクイン。2008~2012年にかけてギャングの抗争が急増し、それとともに観光客は減少しています。主要なホテルがあるエリアでは比較的安全なものの、少し離れたエリアでは外国人観光客を狙った殺人、強盗、強姦事件などが頻発しています。2015年の殺人発生率は104.73人であり、これは2014年の104.16人とほぼ変化はなく、5位にランクインしているマトゥリンの86.45人と比べても非常に高い数値で推移していることが分かります。
中米で最も人口密度が高い国エルサルバドルの首都、サン・サルバドルが3位にランクイン。スペイン語で聖なる救世主という意味のサンサルバドルは、その名前とは裏腹に悪名高い犯罪都市となっています。この町の治安が悪いのは、ずばり町を闊歩するギャングによるもの。彼らは強盗の時ですら殺人をためらわず、ギャング同士の抗争の他、多くの住民、外国人が被害に遭っており、殺人発生率は108.53人と驚くべき数値になっています。サン・サルバドルの危険性を裏付けるものとして、有罪宣告された殺人犯の1/4以上がギャングのメンバーだとか、刑務所があまりに危険で看守の配置が出来ず、受刑者によりルールやスケジュールが決められているといったことが挙げられます。
2位には毎年おなじみと言っても過言ではない、ホンジュラスの最凶都市サン・ペドロ・スーラが登場。ここも70%を超える貧困率、ギャングや行政、司法の腐敗などが重なり治安が極度に悪いそう。中でもマラスという犯罪集団の活動が活発で、殺人、強盗、誘拐、強姦、ギャング間の銃撃戦、人身売買や麻薬取引などありとあらゆる凶悪犯罪が頻繁に起こっているとか。なお2014年の殺人発生率171人に比べると2015年は111.03人とかなり減少しています。これは現政権が法を改正し、軍警察も用いて治安改善にあたったためと言われており、過去数年間、常に1位だったサン・ペドロ・スーラは、2位へとランクダウンしています。
栄えある(?)1位には、混乱の極みにあるベネズエラの首都カラカスがランクイン。人口330万人ほどのカラカスでは、2015年の1年間で3946件(!)もの殺人事件が起きており、殺人発生率は119.87人となっています。政権の失策や原油価格の下落などによって経済が崩壊状態になり、今では年間720%というハイパーインフレに陥っているとか。経済の混乱に伴う貧困や物資の極端な不足などにより急激に治安は悪化しており、日本でも食料品の略奪などのニュースをしばしば目にすることがあります。また警察組織の腐敗も凄まじく、ベネズエラを訪れる時は警察は信用出来ないということを胸に刻んでおく必要があるでしょう。
アメリカ大陸の危険都市10選、いかがだったでしょう?1位のカラカスは、殺人発生率において実に日本の400倍!こういったところを訪れる日本の観光客は少ないでしょうが、南米観光におけるハイライトの一つ、ギアナ高地やエンジェル・フォールはベネズエラにありますし、また世界有数のリゾート地アカプルコなども訪れる可能性がないとは言えません。いずれにせよ、旅に出る際は最新の治安情報を入手し、危険なところはできるだけ避けるように注意して下さいね!
2014年7月より、元教師の妻と世界一周の旅を始め、2016年3月に無事、帰国した33歳の元会計士。1年8カ月かけ48カ国を回る中で出会った絶景やオススメのグルメ情報など、旅に関する情報を発信していきます。
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