【トルコ】イスラム教神秘主義アレウィー派の聖地「ハジュ・ベクタシュ」とは

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ネヴシェヒル唯一の大学は、2013年にネヴシェヒル大学からネヴシェヒル・ハジュ・ベクタシュ・ウェリ大学と改名されました。ハジュ・ベクタシュ・ウェリ(Hacı Bektaş Veliメッカへ巡礼した聖人ベクタシ)といのはイスラム教の神秘主義のアレウィー(Alevi)派の聖者の名前です。

ハジュ・ベクタシュとは

アレウィー聖者の名前が付けられたハジュ・ベクタシュの町はネヴシェヒルから45キロのところにあります。
13世紀に現在のイランのニーシャープールで生まれたハジュ・ベクタシュは、トルコ人の東から西への移住に合わせてアナトリアへ入りました。そして、当時スルジャカラホユックという名前だった、ハジュ・ベクタシュに学校を作り、トルコ人の文化とイスラム教の調和に尽くしました。
彼の死後、その教えを受け継いだ弟子たちにより、ベクタシュ教団が設立され、その教えはアレウィー派の人々に信仰されています。

アレウィー派

アレウィー派はトルコの人口の10%とも30%とも言われていて、その多くがクルド系だそうです。アレウィーとは第四代正統カリフのアリに従うものという意味で、ハジュ・ベクタシュはアリの子孫であると言われています。少数派ということと、宗教儀式ジェムで、民族音楽を取り入れたり、ロウソクを使ったりすることから、異端視されてきました。

大学の名前がなぜ、ハジュ・ベクタシュに?

イスタンブールのボスポラス海峡にできた3番目の橋はオスマン帝国のセリム一世にちなんで、ヤウズ・スルタン・セリムと名づけられました。セリム一世は父から受け継いだ領土を三倍近くに広げ、シリアやエジプト、パレスティナも併合した人物ですが、アレウィー派を虐殺したとも言われています。

そのセリム一世の名前を橋に付けることが、アレウィー派に対する差別でないことを表すため、当時首相であったエルドアン氏がネヴシェヒル大学にアレウィー派の聖者の名前を付けたのです。

ハジュ・ベクタシュ博物館

ハジュ・ベクタシュ博物館は、もともとベクタシュ教団の施設でしたが、1925年にアタトゥルクにより教団が廃止され、1964年8月16日から博物館として公開されました。このため、毎年この日を含んだ数日間、お祭りが開催され、民族ダンスなども披露されます。

教団内の展示品は一時アンカラへ移されていましたが、博物館オープンと共にハジュ・ベクタシュへ戻されました。

駐車場

博物館前には市役所があり、その間には駐車場があります。料金は4リラです。路上駐車をする車を警察が取り締まっています。

博物館入口まで

駐車場から博物館入口までは土産物屋がつらなり、観光客で賑わっています。
また、アレウィー信者があちらこちらで、地べたに座る光景が目に入ります。

博物館には3つの中庭があります。

第一の庭

門を入ると右側にüçler çeşmesi “3人の聖者の泉”と呼ばれる水汲み場があります。

ここで音声ガイドを5リラで借りることができます。トルコ語、英語、ドイツ語の解説をヘッドフォンで聞くことができます。

第二の庭

üçler kapısı“3人の聖者の扉”と呼ばれる門から2つめの庭へ入ります。

入ってすぐに1908年に作られた池があります。

右側には1554年に作られた水汲み場があります。
その後、ここにエジプトから送られたライオン像が置かれ、ライオンの泉(Aslanlı Çeşme)と呼ばれるようになりました。

アシュエヴィと呼ばれる、厨房、食料貯蔵庫があります。ベクタシュは貧しい人にも無料で食事を配りました。

Kara kazanと呼ばれる、聖なる大鍋が展示されています。

肉を冷ます場所もあります。

また、メフメット2世が全国のアレウィー宿泊施設を閉鎖した1834年に作られたテッケモスクがあります。女性は頭にスカーフを巻いて入ってください。

第三の庭

altılar kapısı“6人の聖者の扉”と呼ばれる門から3つめの庭に入ります。

アタトゥルク像があります。1919年、アタトゥルクがシワスからアンカラへ旅路の途中で、ここで休憩したため、設置されました。

右側にはイスラム神秘主義デルビッシュの僧などの墓があります。

墓の横の建物にはベクタシュの後任、バルム・スルタンの廟(Balım Sultan Türbesi)があります。

またこの建物の前にある桑の実の木はハジュ・ベクタシュの時代からあったと言われています。

正面のPir Eviと呼ばれる建物にはベクタシ教団の上層部の棺が並んでいます。

また広間に入って右側には、ハジュ・ベクタシュの棺もあります。信者が棺の周りを回ったり、棺や壁、床にキスする姿が見られます。

博物館の建物一体は2012年にユネスコ世界遺産に登録されています。

ハジュ・ベクタシュ・ウェリ博物館
住所:
Hacı Bektaş/Nevşehir
営業時間:
8:00~19:00
閉館なし

ハジュ・ベクタシュ考古民族博物館

ハジュ・ベクタシュ・ウェリ博物館から徒歩5分ほどの場所にある考古民族博物館(Hacı Bektaş Arkeoloji ve Etnografya Müzesi)には、この地方の古代青銅器時代からの出土品が飾られています。

ハジュ・ベクタシュ考古民族博物館
住所:
Hacı Bektaş/Nevşehir
営業時間:
8:00~17:00
月曜日休館、入館無料

ハジュ・ベクタシュ廟

考古民族博物館前の道を奥へ数分歩くと、ハジュ・ベクタシュ廟(Bektaş Efendi Türbesi)があります。

ハジュ・ベクタシュ廟
住所:
Hacı Bektaş/Nevşehir
いつでも自由に見学できます

最後に

いかがでしたか?
ハジュ・ベクタシュには、トルコ中から信者が訪れ、カッパドキアの他の町とは全く違った雰囲気があります。平和を愛し、心の中に解決策を見つけるハジュ・ベクタシュの教えは日本人にも共感できるものではないでしょうか。

ハジュ・ベクタシュの言葉

探し求め、見つけよ
女性を学ばせよ
傷づけられても傷つけるな
自分の中を探求せよ
自分の手(行動)、舌(言葉)、感情をコントロールせよ
賢者の心は清く、他人をも清くする
崇高な知恵をつけるには、まず正しい行いをせよ
言葉の美しさが人を完璧にする
自分にとって辛いことは他人にするな
どの人間も民族も非難するな
知識なしでは先は暗い
心の闇に光を灯せる者は幸福である
敵も人間であることを忘れるな
予言や聖人は神からの贈り物である

miki

トルコのカッパドキアで7人の子供たちと生活しています。

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