イギリス・ジュラ島でウイスキー旅行!「アイル・オブ・ジュラ蒸留所」観光がおすすめ

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スコットランドの島のひとつであるジュラ島で、唯一ウイスキーを造っているアイル・オブ・ジュラ蒸留所。人口は200人未満の大自然が残る場所で独特のウイスキーを味わおう。

ジュラ島

スコットランドの島のひとつであるジュラ島は、ヘブリディーズ諸島に属します。

スコットランドからジュラ島へはアイラ島を経由して船で行くしかなく、渦巻きが発生したり潮の干満によっては欠航となるため、旅行日程に余裕をもって行動したほうがいいでしょう。

バイキングの言葉でジュラは鹿の島という意味。島の名前にもなっている通り、野生のアカシカが人間よりも多く、よく道路を横断する姿が見られます。

ジュラ島は、イギリスの作家ジョージ・オーウェル氏が「1984年」を執筆した場所として知られている。

結核の療養と執筆を兼ねてジュラ島に滞在していたオーウェル氏のコテージが島の最北端にあります。

民家もない孤島だったので、結核の療養には向かなかったようですが、執筆は進んだようです。

アイル・オブ・ジュラ蒸留所

ジュラ島は昔から人口が200人未満と少なく、蒸留所はありませんでしたが、人々は個人消費のためにお酒を造っていたようです。1502年には密造酒が行われていた記録が残っています。

1781年に個人消費でもお酒を造ることが禁止されると、蒸留所設立に向かって動き出すも、孤島の島国ではやはりと言うべきか時間がかかりました。

1810年にようやくスモールアイル蒸留所ができ、1831年には今の名前であるアイル・オブ・ジュラ蒸留所に変更しています。

1875年にムシューズ・ジェームズ・ファーガスン&サンズが買い取り、25000ポンドをかけて建て直しました。

その後ウイスキー造りは盛んに行われましたが、地代のことで地主とトラブルになり、1901年に閉鎖に追い込まれてしまいます。

1960年代に島民の雇用のために再び蒸留所を興そうと、地主であるロビン・フレッチャー氏とトニー・ライリー・スミス氏の二人が動き始めました。

1947年に古い蒸留所を革新的なデザインに改造し、工程の効率化や工場内のレイアウトを変えて業績が認められていた、ウェールズ人の蒸留所技師でもあり建築家でもあったウイリアム・デルム・エヴァンス氏に蒸留所の建設を依頼しました。

なんと、彼はジュラに行くために飛行機の操縦免許を習得してしまいました。

そして、1963年に完成します。

この蒸留所のポットスチルは8mと筒が高いランタンヘッド型。スコットランドの蒸留所の中では2番目で、一番はグレンモーレンジ蒸留所です。

おいしいウイスキーを造るには、良質な大麦やピートの量、きれいな水、地域性など様々な要因が重なって出来上がります。

しかし、マスターブレンダーは銅製ポットスチルの大きさや形が大きな要因であると考えているようです。

ウイスキー業界では昔から「ポットスチルの首が長いほど、軽いウイスキーができる」と言い伝えられています。

科学的な根拠としては、アルコールが含まれている蒸気の中に油脂分や不純物も含まれていて、首が長いと上に行く前に釜本体に落ちるので純粋なウイスキーができるとのこと。

アイル・オブ・ジュラ蒸留所のウイスキーも首の長いポットスチルのおかげで、ボディは軽めに仕上がっています。

仕込み水は蒸留所の西側にある、標高300mのロッホ・ア・ヴァレ・ヴァルケイ(Loch a' Bhaile-Mhargaidh)という湖の水を使用。

泥炭湖ですが、岩石帯を透過しているためにピート色は薄くなっています。

通称マーケット湖から蒸留所まで水脈はありますが、道路はないのでその湖に行くことはできません。

麦芽を乾燥させるときにピートを炊き込まない上に、仕込み水のピート色も薄いので、アイラ島のウイスキーとは違った味に仕上がっています。

麦芽を糖化するときに使う容器はステンレス製で6槽あります。

奥にあるエンジ色をしたものはアイル・オブ・ジュラ蒸留所のシンボルマークで、入口の壁にも飾られています。

ツアーの最後のお楽しみは試飲ですよね。ウイスキーのそれぞれの特徴を示したものを見ながら味わいます。

ウイスキーボトルに描かれたケルトのシンボル、ジュラ島までの道のり、1本しかない道、唯一の蒸留所、いろいろなことに思いを馳せながらいただくウイスキーは格別ですよ。

ジュラのウイスキー

現在13種類のウイスキーが販売されています。どのウイスキーボトルにもシンボルマークが描かれています。

JURA ORIGINはこの蒸留所の復活を示すウイスキーで、バーボン樽で10年熟成させました。

全体的にははちみつやキャラメルの甘い味ですが、コーヒーやハーブのスペインカンゾウの味も感じられるようです。

滑らかな味わいなので、初心者向きですね。

JURA SUPERSTITIONのボトルには古代エジプトのアンク十字が描かれています。

ピートの香りと潮の香り、そしてはちみつや松、コーヒーやチョコレートなどの異なる味のハーモーニー。「ジュラの迷信」の名にふさわしい味わいです。

JURA DIURACHS'OWNは、2014年サンフランシスコワールドスピリッツコンベイションで金賞を獲得。

14年間アメリカのホワイトオーク樽で熟成させたのち、アモロソオロロソシェリー樽でさらに2年間熟成させています。

はちみつやキャラメルの甘さの中にダークチョコレートの苦み、オレンジなどの柑橘系の味も加わったフルボディのウイスキーです。

JURA PROPHECYはジュラ島に伝わる逸話をイメージして造られました。

ジュラ島に住んでいた預言者が、「キャンベル家最後の一人が、片方の目を失い、財産も失って、白馬に乗って去っていくだろう。」と預言しました。

不吉とばかりにこの預言者を島から追放しましたが、それから後の1938年にチャールズ・キャンベルが第1次世界大戦で片目を失って帰ってきて、事業にも失敗し、白馬が引く馬車に乗って島を去っていきました。こうして預言は本当になったのです。

このウイスキーの特徴は、熟成させたウイスキーを冷却ろ過せずにボトリングしていることです。

樽熟成された原酒の中の香り成分は、低温になると飽和状態となって白く濁ります。香味成分なので通常は気体ですが、固体となった香味成分を0~5度まで冷却し、ろ過することで取り除きます。

しかし、この固体となった成分はウイスキーの味わい成分の素ともなっているので、ろ過しないことによって、より複雑な味わいになっています。

JURA ELIXIRはアメリカのホワイトオーク樽とシェリー樽で熟成させています。

「フルーティ&スパイシー」とある通り、オレンジやパイナップルの柑橘系の果物、砕いたアーモンド、焙煎したコーヒー、そしてショウガスパイスの味わい。

ラインナップされている他のウイスキーとは違い、はちみつやキャラメルなどの甘味成分が感じられないので、甘味が苦手な方もこのウイスキーはやみつきになることでしょう。

アイル・オブ・ジュラ蒸留所(Isle Of Jura Distillery Co)
住所:
Craighouse,Isle of Jura,Argyll PA60 7XT,UK
アクセス:
イギリスケナクレイグよりKennacraig-Port Askaig乗船、乗り換えPort Askaig-Feolin乗船、下船後斜め右に折れてA846に入る。所要時間3時間21分
定休日:
不定期
電話番号:
+44 1496 820385
料金:
無料
ツアー予約:
tours@jurawhisky.comか電話にて予約

まとめ

ジュラ島へはフェリーで行かなければならず時間はかかりますが、人が少なく大自然を満喫するには最高!

アイル・オブ・ジュラ蒸留所のウイスキーは、長い時間熟成された味わい深いものです。

潮風を感じながら、味わってみてください。

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