フランス旅行前に予習しよう!頬をあわせるフランス風のごあいさつ

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フランスの映画などでご覧になったことのある方も多いかも?日本人にはなじみのないフランス風のあいさつ、ビズの秘密に迫ります。

ビズ?キスとは違うの?

キスは恋愛感情を持つ者同士だけに許される行為です。ひるがえってビズは親しみを持つ者同士でひんぱんに交わされるフランス風のごあいさつ。フランス人ならもの心のつく頃には、つまりは小学校にあがるくらいにはもう子どもたち同士でもビズをしています。

道であいさつを交わす人にはビズをするの?

道ですれ違うときにあいさつをする程度の、名前もしらない相手にもビズをするかというとそうではありません。ビズはあくまでも「親しさ」を表すあいさつなのです。

する?しない?どこで決める?

ではどこまでが「親しくない」でどこからが「親しい」のでしょうか。
これにははっきりとした「決まり」はありません。あくまでも個人の感覚や好みで決めていいのです。フランス人の間でも個人差があります。つまり、「ビズ好き」の人とそうでない人がいるのです。

わたしたちにはもともと、「ビズの習慣」はないのですから、特別にそれに慣れている風をよそおう必要もありません。ほっぺたをつき出されて、自分のほうも好意を持っている相手には同じようにほっぺたを差し出しましょう。一気に距離が縮まるのはまちがいありません。
おもしろいことに「日本にはビズの習慣はないのですよ」と言うと、びっくりするフランス人がいることです。自国の文化は世界共通と思っているフランス人はめずらしくありません。

ビズの正しいやり方ってあるの?

正しいやり方があるのかどうか、真相はわかりません。たいていの人はほっぺたとほっぺたをくっつけ合わせ、同時に口の中で「チュッ」「チュッ」という音をさせるようです。
ほっぺたとほっぺたを合わせるのではなく、相手のほっぺたに口をつける人もいます。ぬれたくちびるが筆者のほっぺたにつくのであまりいい気持ちはしません。この場合は、こちらは相手にされるまま。女性に多いようです。どちらが正しいのか、筆者にはわかりません。相手の腕のところに手をそえる人が多いようです。

ビズの回数は?

おもしろい資料を見つけました。フランス全土を色分けして、ビズの回数を教えてくれています。筆者の住むニースは二回。地図を見ると、二回という地域が圧倒的に多いですね。南仏の一部に三回の地域が固まっていて、四回はほとんどが北の方。寒いと何度も人に触れたくなるということでしょうか。

ビズは相手への贈りもの

夏の暑い盛り、「汗をかいてべとべとしているから」と言って普段はビズをしている人が断ってくることがあります。あるいは風邪をひいている人が「今はせきがでるからちょっと」ということもあります。ビズには相手に不快な思いをさせるくらいならしないほうがいい、という不文律があります。ビズはあくまでも「相手に対する小さなプレゼント」なのです。

感謝の気持ちを表すビズ

出典: favim.fr

相手に感謝の気持ちを表すときにもビズをすることがあります。普段していない相手に対しても「ありがとう」の気持ちを表すためにビズをするのです。
たとえば、学年末になると、学校の先生に一年間の感謝をこめて贈りものをする保護者がいます。それを受け取った先生が子どもたちの保護者にビズをしています。普段はしません。また、会社の部下が上司にプレゼントをする場合も同様です。普段はビズをしないもの同士がこんな場合にはビズをして、感謝の気持ちを相手に伝えます。

同性、異性、関係なくするもの?

女性×女性、女性×男性、は普通。男性×男性はかなり親しい場合に限られる印象があります。男性同士はたいての場合、握手ですませてしまうようです。親しい人に会った場合でも、男性同士は「握手」であいさつをすることが多いように思います。たとえば、我が家の長女のボーイフレンドが遊びに来ることがあります。彼は母親である筆者や、長女の妹たちとは当然ビズ。長女の弟とは握手を交わします。ひとりひとりときちんと向き合う姿勢がこんなところにも現れています。

日本人同士でビズをするか、という問題もあります。筆者は親しい友人たち(ひとりはフランス人、もうひとりは日本人)に出くわしたとき、フランス人の友人に普通にビズをしたあと、自然に日本人の友人にもビズをすることがあります。正直、日本人同士だとちょっと恥ずかしい気分になるのも確かです。また若い人ほど、日本人同士でもビズに抵抗感が少ないという印象があります。

家族間のビズ

「おはよう」「いってきます」「いってらっしゃい」「おかえり」「ただいま」「おやすみ」、家族の間ではあいさつのたびにビズをするのが普通です。なんの理由もなくても子どもが「ママ~」といってビズをしてくることもあります。それが彼らの習慣であり、彼らの文化なのです。

とまどいの様子をどうぞ

フランス社会で暮らすようになって誰もがぶつかるであろう「ビズの壁」。それはもちろんわたしにもありました。そんな様子をこちらでどうぞ。

ビズをしたくなりましたか?

子ども、というよりも赤ちゃんと呼びたくなる年頃の子どもにビズをされると、こちらはそれだけでほんわかとしあわせな気分になるものです。百年後の日本に、このフランスの文化が取り入れられているのを想像するのは筆者だけでしょうか。あなたからビズの習慣、はじめてみませんか。日本の乾いた文化が少しはしっとりとやわらかいものになるかもしれません。

トリシャール美保

南仏ニースに住んで十二年。地元人だからこそお伝えできる情報があります。

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