「君の膵臓をたべたい」のロケ地10選！人気映画のおすすめロケ地をご紹介

君の膵臓（すいぞう）をたべたいは、住野よる原作の小説です。「膵臓を食べる」というインパクトある表現から、狂気的なイメージがありますが、そうではありません。青春小説として2015年に出版されると、瞬く間にヒット。2017年に実写版、2018年にはアニメ版として映画化します。この物語は小説版と実写版では少し異なります。実写版は原作の小説版を回想シーンとして紹介し、それに加えて12年後の現代シーンとリンクさせるような表現手法を用いました。物語の内容は回想場面で膵臓の病で余命が限られている桜良（さくら）という女の子と、内気な青年の男の子である僕が、病院で出会います。そこからふたりの交流が始まり、旅行をするなど人生を存分に楽しんでいきます。また現代場面では、生き残った僕や同級生で桜良の親友・恭子との関係などがさわやかに描かれているなど、青春の物語です。

豊郷小学校旧校舎群は「君の膵臓をたべたい」のロケ地でおすすめのスポットです。こちらは、さまざまな場面で登場します。例えば回想シーンで通っていた高校や、現代のシーンでその高校の教師となっている主人公の僕が授業をしている教室がこの小学校です。同じく小学校の廊下も回想・現在両方のシーンで登場します。そのほか高校の図書館での場面も小学校をロケ地としました。さらに回想のときに桜良と話をする学校屋上の重要なシーン。この屋上も豊郷小学校を使っていますが、旧校舎ではなく、隣接した現在の小学校で撮影したようです。

「旧校舎群」という名前で保存されているこの建物は、2代目校舎として1937年に商社・丸紅の専務、吉川鉄治郎から寄贈があり、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計で作られます。当時は東洋一の小学校と言われました。2004年に3代目新校舎が出来たのち、耐震工事などを行って保存することが決まります。2013年に国の登録有形文化財に指定されました。ちなみにこの校舎は「君の膵臓をたべたい」の他いろいろなロケで使用されています。代表的なもので、映画「逆転裁判」、ドラマ「田上パートナーズ」、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」、アニメ「けいおん」などの舞台となっています。

彦根市立西中学校の横道は「君の膵臓をたべたい」のおすすめロケ地のひとつです。こちらは主人公の僕と桜良が通い、そして僕が教師をしている高校の通学路として登場します。中学校の校庭と道路を隔てる緑色の高い柵。この柵が映画で何度も登場します。現代シーンでは教師の僕と生徒が下校する場面で使われています。また、回想場面で僕とメールのやり取りをしながらひとりで歩く桜良のシーンや、「会いたい」という気持ちを全身から溢れ出しながら桜良が走るシーン。そしてクライマックスで恭子のいる結婚式場に、桜良の手紙を渡すために僕が必死に走る場面など、見どころ満載です。

彦根市立西中学校は彦根市内にある公立中学校で、地元では「西中」と呼ばれています。1947年創立の歴史ある学校。彦根城のすぐ近くにあるために「しゃちほこり君」というマスコットキャラクターがいます。ロケで登場する緑の柵のある道は彦根城の堀に面しています。ちなみに柵と堀が並行している道の長さは150メートルほど。聖地巡礼としてぜひ歩いてみましょう。春の桜並木など季節ごとに違った表情を見せてくれます。さらに堀を隔てた反対側には草木の隙間から石垣が見え、フォトジェニックな場所としてもばっちりです。

八日市（ようかいち）駅は、主人公の僕と桜良のふたりが出かける際の待ち合わせ場所。先にこの駅の前に来るのは僕のほうで、駅前のモニュメントの台に腰かけて読書します。そこに桜良が遅れて登場し落ち合います。さらに、ふたりは待ち合わせ後、僕は全く認識しないまま、桜良が導くようにして電車に乗車。車内のシーンでは桜良が「次は新幹線に乗るよ」と僕に言います。聖地巡礼でこの駅に訪問するときには、一緒に電車にも乗りましょう。

八日市駅は、滋賀県東近江市にある近江鉄道の駅。近江鉄道本線と八日市線のターミナル駅です。駅は1898年に開業しました。現在の三角屋根の駅舎はその100年後にリニューアルします。ちなみに八日市駅から500メートルのところに新八日市駅があり、こちらは築1世紀近くの昔ながらの駅舎が残っています。歩いて行けるのでセットで回りましょう。ちなみに待ち合わせで主人公僕が座っていた駅前のモニュメントは、深田充夫氏がデザインした「カリヨン12鐘」です。こちらは定刻になると鐘が鳴ります。そのほか八日市地区は大凧の町として有名で、駅の天井に展示してあります。

伏見であい橋は、映画のカバー写真でも取り上げられている場所です。高校の通学路で、桜が満開のシーンが登場。主人公の僕はひとりで登校していると、その存在に気付いた桜良が手を振る場面。あるいはひとりで読書にいそしむ僕とその横で桜を眺める桜良とのツーショットシーンも見ものです。さらに別の回想場面では、わずかな命を悔いなく楽しむようにより喜びながら走る桜良の姿も印象深いです。さらに現在のシーンで、かつて一緒に過ごした桜良のことを思い出す僕の場面がこの橋で撮影されました。

伏見であい橋があるのは、京都の伏見区。日本酒大手酒蔵の月桂冠の旧本社や幕末の歴史的な事件で登場する寺田屋の近くにあります。場所は寺田屋の建物の目の前にある道を、そのまま西方向に進むのですが、注意点があります。この橋は歩道専用の橋で、車では橋に行けません。手前の京橋で河川敷沿いの歩道に出てください。その歩道沿いに歩けば、であい橋に行けます。橋は宇治川の派流である濠川と鴨川運河が合流する場所にあるため、2本の橋が途中で合流しているのが特徴。その合流点が撮影で使われました。

滋賀大学彦根キャンパスは、高校のシーンのいくつかで登場します。映画で登場する高校の正門が滋賀大学。現在の場面では下校する際に登場します。正門の表札を「桐岡学園」に変えた以外は全く同じ風景で、門構えをはじめ背景に見える三角屋根の建物、さらにその周りを囲う緑の木々もそのままです。また高校への通学路は、大学正門わきの道路が使われました。そのほか映像で登場する図書館の内部は小学校ですが、外観は滋賀大学の経済学部講堂を使っています。

滋賀大学は彦根に本部のある国立大学です。場所は彦根城のすぐ隣で、1949年に建設。彦根のほか大津にもキャンパスがあります。学部は教育学部、経済学部、データサイエンス学部があります。特に経済学部は、彦根藩の武家の教養、近江商人の精神とされる、「士魂商才」の伝統を受け継ぎました。この学部で使用され、映画のロケでも使われた講堂は彦根城の中堀越しにあります。そのほか経済学部谷口ゼミが考案したという大学の公式キャラクターがいます。それは「カモンちゃん（井伊直弼の掃部：カモンから）」と名付けられ、井伊直弼と開国150年祭の事業の一環として企画されました。

ヒルトン福岡シーホークは、主人公のふたり、僕と桜良が福岡で宿泊したホテル。ストーリーではホテル側のミスで同じ部屋に男女ふたりが泊ることになります。お詫びとして最もグレードの高い部屋になりました。具体的には、夜に到着したホテルを見つめるふたり、急遽豪華な部屋で宿泊することになって喜びを全身からあふれ出しながら走り出す桜良、そしてお互いを理解して仲を深め合う場面で登場します。ちなみに最初にホテルをふたりが見た場所は、福岡ヤフオクドームの近くにあるよかトピア橋です。

ヒルトン福岡シーホークは、福岡市中央区地行浜にあるホテルです。運営元はヒルトン・ワールドワイドグループです。地上35階・地下2階建ての高層ホテル。高さは143メートルあり、2020年11月現在で、福岡市では3番目に高い建造物です。1995年に、当初はホークスタウンの運営ホテルとして開業しました。全客室がオーシャンビューで、ホテル内にショッピングゾーンやアナトリウムを持ちます。そのほか2019年に行われた、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議の会場になりました。「君の膵臓をたべたい」のほかにも、村上龍の小説「半島を出よ」、映画「ゴジラvsスペースゴジラ」でホテルが登場します。

福博であい橋は、福岡へ旅行するシーンで登場します。ホテルを出た後に散歩をする僕と桜良がこの橋を歩きます。その際にちょうど橋の真ん中あたりで大道芸をしているクラウンが登場し、それを見学している人がいます。それを「ちらり」と見ながら通り過ぎていきました。また橋を渡ったところにあるのが中洲側の那賀川沿い歩道です。これは夕日の場面で、夕暮れに反射した光輝く川面を見ながら、僕と桜良のふたりが「また来ようね」と話したシーンです。

福博であい橋は、福岡市にある那珂川に架けられた橋で、中州と天神エリアをつなぎます。江戸時代の福岡の町は、この川より西側に福岡城がありました。そのため現在の福岡天神エリアには、当時は武家屋敷が中心でした。対して東側が町衆が住んでいたエリア「博多」です。隣接していますが、江戸時代には別の町として扱われたふたつのエリアを「結ぶ」という意味を込めて、1990年に福博プロムナード計画のひとつとして架けられました。橋の長さは78.2メートルあり、歩行者専用の遊歩道。映画のシーン同様、楽器の演奏やパフォーマンスをする人でにぎわっています。

ポム･ダムールは、映画オリジナルの現在シーンで登場します。花屋でパートとして働く恭子がカフェに配達。そのカフェがポム･ダムールです。そして花を届けて店に戻るために外に出ます。するとちょうどその場所を歩いている、主人公の僕を見つけました。このカフェは彦根城の南隣にあるので、滋賀大学とセットで訪問できます。ちなみに恭子が勤めていた花屋の舞台は「フラワーズギフト花正」。カフェから一時間以上歩く必要があるので、聖地巡礼のときには注意しましょう。

ポム･ダムールは、彦根城のすぐそばにあるカフェです。フランス人パティシエが常駐しており、本場フランスの味わいが堪能できます。さらに安心できる旬の食材のみを使用。朝9時から営業していて、午前中はお得なモーニングメニューがあります。またランチタイムはメニューが豊富で12種類から選べるほか、ランチデザートも。午後のカフェメニューが充実しているのも嬉しいですね。こちらも聖地のひとつで、聖地巡礼に疲れたときに一休みをしたり、あるいは食事を楽しんだりするのに、ぴったりなスポットと言えるでしょう。

大宰府天満宮は、主人公の僕と桜良のふたりが訪れた観光地として登場。福岡天神でラーメンを食べた後、バスで太宰府に向かいます。そして大宰府の門前町が最初のシーンです。当時はスマホがなかった時代のようで、桜良は「写ルンです」というレンズ付きフイルムで撮影。ここから「梅ヶ枝餅」作りを見たり、境内に入ったあとに太鼓橋を渡ったりと続きます。特に僕が「病人なのに食べてばかりいるから」と桜良に言い返す「桜門」での場面は必見です。そして本殿が登場し、そこで真剣にお参りする場面。さらには大吉を引いた「おみくじむすび所」があります。

太宰府天満宮は、福岡県太宰府市にある神社本庁の別表神社です。平安時代の右大臣・菅原道真が陰謀により大宰府に左遷。道真は失意のうちに、着任後3年で亡くなります。その後落雷など道真の祟りを思わせる事件が多発し、道真の怒りを鎮める目的で創建しました。主祭神の道真が頭脳明晰だったことから「学問の神」として崇められています。また「君の膵臓をたべたい」以外でも文学的な作品に登場。室町時代に活躍した世阿弥（ぜあみ）の能楽「老松（おいまつ）」や明治の作詞家・大和田建樹（おおわだたけき）の「鉄道唱歌」、さらにさだまさしの「飛梅」にも太宰府天満宮が登場します。

アルシオーネ･コートは、 ザ・ジョージアンテラス岐阜という名前の結婚式場です。ここは、映画のクライマックスシーンで登場。花屋でパートをしている恭子が「ガム君」と呼ばれる人物と結婚します。このガム君とは「ガムいる？」と言って内気な主人公、僕を心配している存在。原作では名前がなく映画版では宮田一晴として登場します。そして結婚式場に僕が現れ、花嫁の恭子に手紙を渡すシーン。手紙は12年前に死亡した桜良の想いが詰まったものでした。ここでは結婚式場のロビーやウエディングドレス姿の恭子などが映し出されます。そして結婚式場の正面入り口も登場します。

ザ・ジョージアンテラス岐阜は「緑と木に包まれた一軒家貸切ウェディング」を提案しています。自己負担0円で行われる特別プラン、ゲストと一軒家で過ごせるプライベートなひとときは大変評判です。リニューアルされたチャペルには、14メートルのバージンロードがあります。さらに祭壇の部分は陽光が差し込むように空洞になっており、その背景には緑の植物に覆われた自然の壁が見えます。さらに白を基調にした華やかなパーティ会場。ここは人生の門出を迎えるふたりには、ピッタリの空間です。

「君の膵臓をたべたい」は、不治の病にかかったことにより人生を積極的に生きたいと願った桜良と、そんな彼女に振り回される僕との青春の日々を描いた作品です。そして実写映画版では小説版に加えて12年後が描かれる展開です。物語により臨場感をもたらすロケの場所は、滋賀県と福岡県を中心として京都、岐阜など複数の土地にまたがりました。ロケ地の中には他作品でも登場する聖地も含まれており、同時に楽しみたいところです。ただし観光スポットではない場所では、そこで生活をしている人がいます。彼らの迷惑にならないよう、節度ある態度で巡礼訪問をしましょう。