イタリア世界遺産「アッシジ」の観光スポット特集!サン・フランチェスコ聖堂の町を歩いてみよう

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イタリア中部の町アッシジといえば、イタリアの守護聖人「聖フランチェスコ」の出生地。豊かな自然の中にある宗教的な雰囲気が漂う町は、現在では巡礼者はもとより多くの旅行者が訪ねる人気の観光地となっています。いったいどんな町なのか、その魅力の一端をご紹介したいと思います。

アッシジって、どこにあるの?

イタリア中部の小都市「アッシジ」

アッシジ Assisi があるのはイタリアの中部ウンブリア州。ペルージャ市内からであれば、バスで30分とはかからないところにある人口2万8千人ほどの小さな町です。

町の歴史は古く、古代ローマ時代よりもさらに遡れるようですが、最も栄えたのはもちろん中世の頃。隣のペルージャとも争っていた、自主独立を旨とする都市国家(コムーネ)のひとつでした。

イタリアの守護聖人「聖フランチェスコ」の出生地

スバージオ山 Monte Subasio の麓、その丘陵地帯に築かれたアッシジの町には、巡礼者はもとより多くの観光客が世界各地から訪ねてきますが、それには2つの理由があるようです。

一つは、この地がイタリアの守護聖人「聖フランチェスコ」の生地であること。そして、もう一つは彼に捧げられた教会、「サン・フランチェスコ聖堂」の存在です。

アッシジ (Assisi)
アクセス:
ローマからだと、鉄道で2~3時間前後
 (乗り換えの有無で、時間に差が出ます)。
 フィレンツェからも、ほぼ同様。
 駅からアッシジの町までは、バスを利用。

世界遺産「サン・フランチェスコ聖堂」

清貧と隣人愛に貫かれた信仰生活を送った聖フランチェスコ。彼は1226年に44歳で亡くなりました。その2年後に早くも建設され始めたのが、このサン・フランチェスコ聖堂です(1253年には一応完成)。

※フランチェスコ会ゆかりの場所を含め、2000年に世界遺産に登録。

この聖堂は構造が変わっていて、実は儀式を行う「上の聖堂」と、聖フランチェスコの棺が安置されている「下の聖堂」の2層構造になっています。

どちらから見学することも可能ですが、上の聖堂から入るとオーディオガイドの貸し出しが受けられて便利です(日本語版も用意されています)。

ちなみに、聖フランチェスコは決して貧しい家に生まれたわけではありません。アッシジの豪商のもとに生まれ、跡取り息子として何不自由のない青年時代を送っていたようです。

しかし、ペルージャとの戦いで捕虜となったことや、熱病で生死の境をさまよったことで人生観が一変。信仰に生きることを決意したのは、20代半ばに差し掛かった頃のことでした。

サン・フランチェスコ聖堂の一番の見どころは、シモーネ・マルティーニやチマブーエといった、名匠たちの筆によるフレスコ画の数々が見られることです。

もちろんどれも傑作揃いなのですが、中でも目を惹くのが上の聖堂にあるジョット作の「聖フランチェスコの生涯」です(1290~95年頃)。28面にも及ぶ連作のフレスコ画は見事の一言。

ジョットといえば、フィレンツェの「花の聖母教会」の鐘楼を設計したことで有名ですが、このフレスコ画の制作は、そんな彼の最初の大仕事にあたります。

サン・フランチェスコ聖堂 (Basilica di San Francesco)
住所:
Piazza Inferiore di S. Francesco, 2, 06081 Assisi PG
アクセス:
コムーネ広場から徒歩で約15分
見学時間:
 上部聖堂
   3/25~10/28頃 8:
30~18:45
   10/29~3/24頃 8:
30~18:00
 下部聖堂
   3/25~10/28頃 6:
00~18:45
   10/29~3/24頃 6:
00~18:00
定休日:
日曜の午前と宗教祭日は見学不可
電話番号:
075-819001

町の中心「コムーネ広場」

アッシジの旧市街の中心は、今も昔もコムーネ広場です。世界遺産を見たから終わりではなく、ぜひとも広場まで足を運んでみてください。サン・フランチェスコ聖堂から広場へと通じる道には、中世の頃の趣きがそこかしこに残っていて、なかなかに魅力的です。

広場にはレストランなどもありますが、歴史的建造物としては13世紀に建てられたコムーネの塔や、その隣にあるローマ時代のミネルヴァ神殿が見ものです。またコムーネの政庁として建てられたパラッツォ・コムナーレは14世紀の建築ですが、こちらは今も市役所として利用されています。

大城塞から周辺を一望

時間に余裕があれば、広場からさらに歩いて大城塞に行かれることをおすすめします。14世紀に築かれた城壁の跡ですが、何と言っても高台からの見晴らしは最高。アッシジ周辺の広々とした丘陵地帯まで一望できます。

大城塞 (Rocca Maggiore)
住所:
Piazzale delle Libertà Comunali, Assisi PG
アクセス:
コムーネ広場の北、250mほどのところ
見学時間:
10:00~夕暮れ時まで
 (1~2月は16:
30、6~8月は20:00など、
 季節により終了時間が少しずつ異なります)
電話番号:
3283-833372
料金:
5ユーロ

聖女キアーラに捧げられた「サンタ・キアーラ聖堂」

白とピンクの大理石の組み合わせがなんとも美しいのが、サンタ・キアーラ聖堂です。キアーラもアッシジの名家の出身でしたが、修道女の会を設立するなど聖フランチェスコの第一の信奉者とも言われる女性でした。

1257年から建築が始まり、1265年に完成。ゴシック様式の部分もありますが、基本的にはロマネスク様式のこじんまりとした教会、といったところです。

見どころはフレスコ画「聖女キアーラの生涯」。地下には聖女キアーラの遺体も安置されています。

サンタ・キアーラ聖堂 (Basilica di Santa Chiara)
住所:
Piazza Santa Chiara, 1, 06081 Assisi PG
アクセス:
コムーネ広場から徒歩5分ほど
見学時間:
 午前 6:
30~12:00
 午後 14:
00~19:00
 (10/29~3/24頃は、18:
00で終了)
電話番号:
075-812273

春祭り「カレンディ・マッジョ」

この季節でなければダメというわけではありませんが、もし時期を選べるのであれば、春祭り「カレンディ・マッジョ」の時期に訪れるのが一番ではないでしょうか。

祭りが行われるのは、大体5月の第1木金土。時間は15~18時と決まっているようで、普段は静かな町もこの期間だけはコムーネ広場を中心に大いに賑わいます。

パレードには大人はもちろん子どもたちも参加。中世の頃の衣装に身を包み、楽しそうです。

「一緒に写真を撮りたいなあ」と思ったら、まずは気軽にお願いしてみましょう。相手はイタリア人ですから、結構陽気にOKしてくれるはずです。

最後に…

アッシジは近くのスバージオ山から採れるピンク色の石材を使っていることもあって、街並みが何とも魅力的です。ローマやフィレンツェからだと多少時間はかかりますが、どうしてどうして、アッシジはそれに見合うだけの町でもあります。

イタリア旅行の際には、ぜひとも予定に加えてみてください。

Caroll

昔からのクラシック音楽ファンということもあって、やっぱりヨーロッパが好きですね。あと歴史も好きなので、「旅と歴史」という視点から、いろいろと書いていければと思っています。どうぞ、よろしく!

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