スペイン・アンダルシア・カソルラのお惣菜屋さん「Encendida」でスペイン家庭料理を楽しもう

小さな植木鉢には多肉植物がたくさん。材料は有機栽培のものを使っています。ですからすぐそばにあるヨガ教室帰りの生徒さんが立ち寄っています。ヨガの日はエンセンディーダのお昼ご飯を持って帰るのが日課だという人がたくさんいます。
お店の外には小さなカウンターがあってここでも召し上がれます。

さあ、お店に行ってみましょう。

エンセンディーダというのは火がついたままの状態を表します。お台所でいつも豆が煮えていたり、シチューや日本ならおでんがグツグツいっていたりするそんな家が懐かしい、という気持ちをお店の名前にしました。
お客様で一番多いのは一人暮らしのお年寄りです。一人だけだとサラダ一つ作るにしてもいろんな種類の野菜を入れると無駄が出るからここで買うのです。日曜日はお休みです。日曜日は家族がみんな集まって食事をするのでお惣菜屋さんに行く人は少ないのです。

店主のアナが第一プレートの料理と第二プレートの料理、そしてデザートをプラスチックケースに入れてくれます。一人分、6.5ユーロ。デザートなしだと6ユーロですが、デザートだけ頼むと2ユーロだから絶対デザート付きで買わないと損！

アナが好きな本はメキシコの作家ラウラ・エキスヴェルの小説『赤い薔薇ソースの伝説』です。1992年に映画化されて日本でも公開されました。作った人の気持ちが料理を通して食べた人に伝わっていく。
『だから私はいつも楽しい気持ちで料理を作るの。』

何を食べるか迷ってしまいますね。豚肉のトマトソース煮込み、お魚のサルサ・ハルディネーラ煮込み。ハルディネーラというのはハルディン庭から派生したことばで、お庭にお花を植えるみたいにいろんな材料を小さく切ってじっくり煮込んだものです。お米が見えますが、他のところのようにニンニクやオイルを加えないで日本のご飯のようにあっさりと炊いています。塩を加え、サフランで色付けしています。

手づくり生地のピザです。これも第一プレートの料理。右にあるのはサルモレッホス。サルモレッホスはガスパチョより濃いトマトのスープです。人によってはパテのようにパンにのせて食べます。コルドバの郷土料理。同じ第一プレートですが、ピザを頼むと次のお皿の料理がちょっと大変ですね。

メルルーサは白身のお魚です。高級魚のカテゴリーですが、日本の給食に出ていたメルルーサと同じでしょうか？メルルーサとジャガイモをスープで煮たもの。

ガルバンソ（ひよこ豆）とほうれん草の煮物。スペインでは豆類をよく食べます。だから喫煙率も高く、健康にもそんなに気を使ってないようなのに平均寿命が日本についで長いのですね。

写真右ボールの料理のエンサラディージャ・デ・ルソはロシアンサラダ、ポテトサラダの一種です。スペインでは一番人気の料理です。ロシアで生まれた時はちょっと高級料理だったのがスペインに来て、エビなどを入れず、普段家にあるもので作って庶民料理になりました。その向こうにサルピコン・デ・マリスコス、魚介類の入ったサラダ、ズッキーニのピザ、ラザーニャ、マカロニ。

薄い黄色に見えるのはアーモンドソースで和えた白身魚。スペインではアーモンドがたくさん取れます。アーモンドの花は白くて桜の花にそっくりです。2月にスペインを訪れると桜があると思う方がたくさんいます。そのくらいそっくりなのです。あちらこちらで見られます。夏に取り入れをして、庭先でアーモンドの殻を割っている老婦人を見かけます。若い女の子は割りながら食べてしまうので割っても割ってもなかなかアーモンドの量が増えません。ですからお母さんたちは『そんなに食べると胸が大きくなってしまうわよ。』と叱るそうです。

エムパナーダとレンズ豆のスープ。エムパナーダは生地のなかに肉類や魚をトマトソースで煮込んだものを入れて焼いたものです。奥に見えるのがデザート。デザートはアロス・コン・レチェとチョコレートムース。

このパンは天然素材のパン。しっかりしたコシのあるパンです。ここで作られています。

デザート用ではない甘いものは時間のある時に作っています。これも天然素材のみ使用。全粒粉と漂白していないお砂糖、有機栽培のカカオやレーズンを入れたクッキーやニンジンケーキなど。このセクションは仕事というより趣味に近いので作りたいもの、食べたいものを作っているとか。

ビールも。手づくりの地ビール。コルドバのビールです。カソルラにも地ビールがあるのですがコルドバのビールのほうがリーズナブルで、味が店主好みだからコルドバ地ビールを売っているのだそうです。

有機栽培のぶどうで作られた添加物なしのワインは悪酔いしません。このワインはラマンチャのシウダレアル、バルデペニャで作られています。Mureda（ムレダ）社は1200ヘクタールの有機栽培のブドウ畑を持ち、そのブドウを使って添加物を一切使わないワインを作っています。4ユーロなんて信じられないくらい安いですね。（1ユーロはだいたい130円くらい）

有機栽培の果物を使ったジュース。

店内にもカウンターがあります。旅行者のために地図も用意されています。料理の本とアロエベラと、小さな店内ですが長居してしまいます。

アクセサリーなどの小物も売っています。布の袋は店主のお手製です。料理を作るだけでも時間がないと思うのですが本当に手を動かすことが大好きな人なのですね。
写真の右にぶら下がっているペンダントは陶器です。とても軽くてすてきなペンダントを作ったのはスイスの陶芸家。旅をして、ふらっと訪れたこの町で、お金があまりないのでこのペンダントと料理を交換したのだそうです。左にあるネックレスは革工芸です。この町にはヒッピーで自然愛好家がたくさん住んでいますが、その一人の作品です。

土曜日はちょっと変わった料理に挑戦しています。ブラジル料理、トルコ料理、モロッコ料理、そして日本料理。お寿司の日は特に人気だそうで、10km離れたお隣の村からも車で買いに来るそうです。1時間で売り切れになるのでがっかりして帰る人たちもいるとか。こんな田舎町にもお寿司ブームが到来しました。

カソルラっていったいどこ？という方はこちらをご覧ください。

どこの町にもお惣菜屋さんがあります。旅行でちょっと疲れた時はこういうところで買ってゆっくりホテルで食べたり、公園でピクニックみたいに食べたりしてのんびりしましょう。バルやレストランでは味わえない家庭的な味が楽しめます。